![]() 平滑筋の増殖および分化を調節するマイクロrnaならびにこれらの使用
专利摘要:
本発明は、miR−143/miR−145クラスターを包含する、平滑筋細胞の増殖および分化を制御するマイクロRNAの同定に関する。miR−143および/またはmiR−145の発現を増加させることにより再狭窄および新生内膜形成を治療する方法が開示される。本発明はまた、心臓における細胞の生存を制御する2つのマイクロRNAであるmiR−486およびmiR−422aの同定にも関する。心臓組織におけるmiR−486および/またはmiR−422aの発現を増加させることにより心肥大、心不全、または心筋梗塞を治療または予防する方法も開示される。C 公开号:JP2011513238A 申请号:JP2010547839 申请日:2009-02-23 公开日:2011-04-28 发明作者:オルソン,エリック;シン,メイ;スモール,エリック 申请人:ザ ボード オブ リージェンツ オブ ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム; IPC主号:A61K45-06
专利说明:
[0001] 関連出願の相互参照 本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2008年2月21日に出願された米国仮出願第61/030,467号の利益を主張する。] [0002] 政府援助に関する言明 本発明は、米国国立衛生研究所からの助成金番号HL53351−06の下での助成金援助によりなされた。同政府は、本発明において一定の権利を有する。] [0003] 本発明は一般的に、発生生物学および分子生物学の分野に関する。より特定すれば、本発明は、血管組織内に存在する平滑筋細胞を包含する、平滑筋細胞における遺伝子制御および細胞生理学に関する。具体的には、本発明は、平滑筋細胞の分化および増殖の制御に関与するmiRNAに関する。再狭窄および新生内膜形成を治療および阻害するためのこれらのmiRNAの上方制御が開示される。] 背景技術 [0004] 心血管疾患は、欧米諸国において、依然として特に主要な死亡原因であり、健康上および経済上において比類のない負担となっている。バルーン血管形成術(経皮経管的血管形成術;またはPTA)による治療は、平均余命を改善することが示されている。血管形成術は、閉塞性のアテローム性硬化血管の狭窄を緩和するためのバイパス術に対する代替法であるが、その長期的な成功も、再狭窄および新生内膜形成の発生により損なわれることが多い。PTA手順では、カテーテルの遠位端に配置された膨張式バルーンを、狭窄領域に設置する。バルーンは、流体圧下において膨張して、狭窄した管腔を再構成し、これにより、罹患した動脈内の血流を増大させる。狭窄が重度の場合は、膨張−収縮サイクルを何回も反復することがまれではない。動脈壁に対するこの機械的な傷害行為は、所望の動脈開口をもたらしうるが、該手順の後においては、傷害を受けた部位において、または同部位の近傍において、典型的には該手順の6カ月〜2年以内に、25%〜50%の推定発生率で再狭窄が生じる。] [0005] 一連の血管内超音波の研究により、ステント配置後における再狭窄は、ほぼすべて、平滑筋の過形成およびマトリックスの増殖に起因することが示されている。したがって、ステント内における新生内膜形成が、ステント使用にとって、手順上の主要な制限となったままであり、使用、および長期にわたる臨床的有益性の両方を制限している。] 発明が解決しようとする課題 [0006] 内皮削剥、血管壁に対する傷害、および栄養血管の破裂など、血管傷害の結果、血管形成術に対して望ましくない帰結がもたらされ、これにより、治療された部位が再狭窄を受けやすくなる。傷害時には、後続する血小板の沈着が、血管の治癒機構と組み合わされ、動脈壁内における平滑筋細胞の増殖シグナルが発せられる。血小板の沈着は、状況によって、急性血栓症をもたらす場合がある。より重要な点は、平滑筋細胞の増殖が、減衰せずに持続することが多く、したがって、結果として生じる再狭窄における顕著な因子として広範にわたり関与している過程だということである。いかなる薬理学的介入も機械的介入も、血管形成術後の再狭窄の防止において十分に有効ではないことが分かっている。したがって、再狭窄を防止し、血管形成術の有益性を増強するための新規の療法が必要とされている。] 課題を解決するための手段 [0007] 本発明は、miR−143およびmiR−145が平滑筋組織内において豊富であり、平滑筋の増殖を制御することが可能であり、血管傷害後における新生内膜形成を軽減しうるという発見に部分的に基づく。したがって、本発明は、再狭窄または新生内膜形成の阻害を必要とする対象における再狭窄または新生内膜形成を阻害する方法を提供する。一実施形態において、該方法は、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストを対象に投与する工程を含む。miR−143および/またはmiR−145のアゴニストは、miR−143および/またはmiR−145のプリmiRNA配列、プレmiRNA配列、もしくは成熟miRNA配列を含むポリヌクレオチドでありうる。一部の実施形態において、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストは、発現ベクターからin vivoで発現する。] [0008] 別の実施形態において、再狭窄または新生内膜形成の阻害を必要とする対象における再狭窄または新生内膜形成を阻害する方法は、miR−486阻害剤を該対象に投与する工程を含む。miR−486は、細胞増殖に対する負の制御物質であるPTENを下方制御し、平滑筋細胞の増殖および新生内膜形成に寄与する。miR−486阻害剤は、アンタゴmir(antagomir)、アンチセンスオリゴヌクレオチド、または阻害性RNA分子でありうる。本発明の別の実施形態において、該方法は、miR−143/miR−145アゴニストおよびmiR−486阻害剤を対象に投与する工程を含む。さらに別の実施形態において、該方法は、再狭窄または新生内膜形成を阻害する第2の作用物質を対象に投与する工程をさらに含む。] [0009] 本発明はまた、平滑筋細胞の増殖を阻害する方法も包含する。一実施形態において、該方法は、平滑筋細胞をmiR−143および/またはmiR−145のアゴニストと接触させる工程を含む。別の実施形態において、該方法は、平滑筋細胞をmiR−486阻害剤と接触させる工程を含む。] [0010] 本発明はまた、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も包含する。別の実施形態において、該組成物は、miR−486阻害剤もさらに含む。別の実施形態において、該組成物は、カテーテルまたはステントなど、医療デバイスのためのコーティングとして製剤化される。] [0011] 本発明はまた、病的な心肥大、心不全、または心筋梗塞の治療を必要とする対象における病的な心肥大、心不全、または心筋梗塞を治療する方法であって、miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストを投与する工程を含む方法も提供する。miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストは、miR−486および/またはmiR−422aのプリmiRNA配列、プレmiRNA配列、もしくは成熟miRNA配列を含むポリヌクレオチドを包含する。一部の実施形態において、miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストは、発現ベクターから発現する。] [0012] さらに別の実施形態では、トランスジェニック非ヒト哺乳動物であって、その細胞が機能的なmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486を発現しないトランスジェニック哺乳動物が提供される。別の実施形態は、トランスジェニック非ヒト哺乳動物であって、その細胞が、該非ヒト哺乳動物の細胞内において活性な異種プロモーターの制御下にあるmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486のコード領域を含むトランスジェニック哺乳動物を包含する。プロモーターは、平滑筋特異的プロモーター、または心筋特異的プロモーターなど、組織特異的プロモーターでありうる。さらに別の実施形態は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の天然対立遺伝子の一方または両方を欠く、トランスジェニック非ヒト哺乳動物細胞を提供する。該細胞は、miR−143、miR−145、miR−422a、またはmiR−486の天然対立遺伝子の両方を欠く場合がある。] [0013] 別の実施形態では、血管平滑筋または心筋におけるmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486活性の調節物質を同定する方法であって、(a)血管平滑筋細胞または心筋細胞を候補化合物と接触させる工程と、(b)miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性または発現を評価する工程と、(c)工程(b)における活性または発現を、該候補化合物の不在下における活性または発現と比較するステップとを含み、該測定された活性または発現間の差異により、該候補化合物がmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質であることが示される方法が提供される。該細胞は、該候補化合物と、in vitroで接触させることもでき、in vivoで接触させることもできる。miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486のアゴニストの場合もあり、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の阻害剤の場合もある。一部の実施形態において、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性または発現を評価する工程は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486により制御される遺伝子の発現または活性を評価する工程を含む。miR−143および/またはmiR−145により制御される遺伝子には、Slit−RoboGTPアーゼ活性化タンパク質1および2、Smad3、Sema3、Cited2、KLF5、またはMRTFbが含まれる。miR−486により制御される遺伝子には、PTENおよびFoxo1aが含まれる。] [0014] 本発明は、本明細書で示される具体的な実施形態の詳細な説明と組み合わせて、1つまたは複数の図面を参照することにより十分に理解することができる。] 図面の簡単な説明 [0015] 図1A:マイクロRNAのマイクロアレイ解析により、骨格筋(長指伸筋;EDL)および心筋と比較して、平滑筋(大動脈;Ao)において豊富なマイクロRNA遺伝子が同定されたことを示す図である。miR−145およびmiR−143は、平滑筋において顕著に豊富である。図1B:miR−143(左パネル)およびmiR−145(右パネル)の組織分布を示す、複数の成体マウス組織に対するノーザンブロットを示す図である。大動脈(Ao)、胃、肺、および膀胱の平滑筋において、顕著な増加が観察される。骨格筋(Skm);血管平滑筋細胞(VSMC)。 10日間にわたる、ラット大動脈血管平滑筋細胞(RVSMC)の分化時におけるmiR−143およびmiR−145の発現についての解析を示す図である。ノーザンブロットにより評価される通り、RVSMCの分化時においては、miR−143およびmiR−145の両方の発現が増加する。 miR−143およびmiR−145ならびに上流にある制御DNAの進化的保存を示すダイアグラムである。保存的SRF結合部位(CArG)の位置を強調して示す。プロモーター活性をマッピングするためにコンストラクト中で用いられた各種の切断物もまた示される。 トランスジェニック動物におけるlacZレポーター解析により、平滑筋および心筋における発現が、miR−143およびmiR−145の遺伝子座の上流にある1.5kb(コンストラクトF)により駆動されることを示す図である。発現は、胚齢7.5日(E7.5)までの心臓半月弁において明らかである。 成体組織内において、miR−143/145により制御されるβGal発現を検証することにより、心(Ht)筋誘導体および平滑筋誘導体中における発現が明らかとなることを示す図である。大動脈(Ao)、膀胱(Bl)、および肺血管(Lu)、ならびに骨格筋(Sk)においてしっかりとした発現が観察される。 保存的CArGボックスの突然変異により、野生型(WT)動物と比較して、突然変異したlacZレポーターコンストラクト(Mut CArG)を保有するトランスジェニック動物の心臓における発現が消失し、同血管における発現が低下することを示す図である。 図5A:ミオカルジンと、野生型(WT)のCArG部位または突然変異体のCArG部位(CArG mut)を有する1.5kbのmiR143/145ルシフェラーゼレポーターコンストラクト(コンストラクトF)とを共トランスフェクトしたCOS細胞の相対的なルシフェラーゼ活性を示す図である。ミオカルジンによる、1.5kbのmiR−143/145ルシフェラーゼレポーターの活性化は、保存的CArGボックスだけに完全に依存する。図5B:新生仔の心筋細胞内における、コンストラクトFに由来するルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現により、ミオカルジンの過剰発現時における強力な応答性および活性の増加が示されることを示す図である。ミオカルジンに応答するレポーター遺伝子の発現は、CArG部位の突然変異により顕著に低下する。 ゲルシフトにより示される通り、血清応答因子(SRF)が、miR−143/145の制御DNA中の保存的CArG配列に結合することを示す図である。突然変異体のプローブはSRFに結合せず、コールドな(cold)野生型オリゴが、該プローブに対するSRFの結合について有効に競合する。突然変異体のコールドな競合体は、ゲルシフトを無効にしない。 図7A:頸動脈の結紮による平滑筋傷害後の表現型調節のマウスモデルにおいて、マイクロRNAの変化を明らかにするためにマイクロRNAのマイクロアレイ解析を実施した。miR−143、miR−145、およびmiR−486のすべてが、結紮されない対照動脈と比較して、傷害を受けた頸動脈において顕著に下方制御された。図7B:マイクロアレイの結果を、リアルタイムのRT−PCR解析により検証した。miR−143およびmiR−145の発現レベルが、傷害を受けた頸動脈において、それぞれ、約85%および92%低下したのに対し、miR−486の発現レベルは、約75%低下した。miR−21およびmiR−126は、それぞれ、陽性対照および陰性対照として用いられた。 miR−143/145模倣剤の投与を伴うマイクロRNAレベルの回復により、頸動脈結紮後における新生内膜形成を軽減するための実験デザインを示す図である。 各組織に対するmiR模倣剤(mm)送達の有効性を、注射の2日後におけるノーザンブロットにより検証した。miR−143およびmiR−145は、心臓、肺、腎臓、および肝臓における顕著な増加を示す。 H&E染色およびエラスチン染色により、結紮の28日後における頸動脈に対する組織学的検証を示す図である。生理食塩水を注射された対照マウスは、検証されたすべてのレベルにおいて、重度の新生内膜形成を示す。代表的な組織学的切片は、結紮下のレベルI(1.5mm)およびレベルII(1.9mm)のものである。miR−143模倣剤を注射されたマウスは、結紮下の対応するレベルにおいて、新生内膜形成の顕著な軽減を示した。 miR−143およびmiR−145の予測される標的を、TargetScan5.0上で同定した。潜在的な標的の3’UTRを、CMV駆動ルシフェラーゼレポーター内へとクローニングし、COS細胞内において、miR−143またはmiR−145と共トランスフェクトした。miR−145は、Slit−RoboGTPアーゼ活性化タンパク質1(A)および同タンパク質2(B)(Srgap)、Smad3(C)、Sema3(D)、ならびにCited2(E)の3’UTRを抑制した。miR−145はまた、KLF5の3’UTR(F)も標的とすることが予測される。miR−143(G)およびmiR−145(H)のいずれも、MRTFbの3’UTRを標的とすることが予測される。 図10はミオカルジンまたはMRTFaによって増加するマイクロRNAの同定を示す図である。図10A:βgal、MRTFa、またはミオカルジンの発現を誘導するアデノウイルスを、心筋細胞に感染させた。増加したマイクロRNAが、マイクロアレイにより同定された。図10B:ミノーザンブロットにより観察される通り、miR−486が、MRTFaの過剰発現時には顕著に豊富であったが、ミオカルジン(myocd)の場合にはそれほど豊富でなかった。図10C:miR−486は、筋特異的な発現を誘導する代替のプロモーターを含有する、Ank1遺伝子の最後のイントロン内に位置する。ステムループ構造の配列(配列番号69)および成熟マイクロRNAの配列(配列番号70)が示される。 MRTFaまたはGFPを発現する心筋細胞に対するリアルタイムPCR解析は、MRTFaによりmiR−486(D)およびAnk1(E)が急速に誘導されることを示す。 miR−486の発現を示す図である。図11A:成体マウスにおけるmiR−486の発現を示す、複数の組織に対するノーザンブロット。発現は、心筋誘導体、骨格筋誘導体、および平滑筋誘導体において濃密である。図11B:胚発生時における、miR−486の宿主遺伝子であるsAnk1の発現。中胚葉節における発現を示す、E11.5胚に対するホールマウントのin situハイブリダイゼーション(ISH)。放射性切片に対するISHにより、E10.5〜E12.5の中胚葉節におけるsAnk1の発現が示される。発現は、発生中の骨格筋前駆細胞、舌、横隔膜において観察され、心房および肝臓における発現は弱い。図11C:半定量的RT−PCRにより示される、胚発生段階の心臓における、miR−486の宿主遺伝子であるAnk1の発現。図11D:miR−486発現は、骨格筋の細胞株であるC2C12の分化と相関する。 図12は、miR−486/Ank1制御配列の同定を示す図である。図12A:miR−486およびAnk1の発現は、心筋細胞におけるMRTFaにより特異的に誘導される。ミオカルジンは、miR−486またはAnk1を誘導するのに不十分である。図12B:sAnk1遺伝子の制御領域において予測される転写因子結合部位を示す概略図。 図12C:1080bpAnk1−hsp681acZレポーターコンストラクトを保有するトランスジェニック動物は、骨格筋に特異的なβgal活性を示す。E9.5において中胚葉節(somite)の染色が観察され、E11.5およびE13.5においては中胚葉節および発達中の骨格筋の染色が観察される。図12D:MyoD、Nkx2−5、GATA−4、ミオカルジン、またはMRTFaのための発現プラスミド50ng、100ng、および200ngと、ルシフェラーゼレポーターコンストラクトとを、COS細胞に共トランスフェクトした。sAnk1遺伝子の上流にある1080bpの領域は、COS細胞内のMyoD、Nkx2−5、およびGATA−4により活性化されるが、ミオカルジンまたはMRTFaによっては活性化されない。 図12E:650bpのsAnk1イントロン1は、一過性にトランスフェクトされたCOS細胞内のMRTFaによっては特異的に活性化されるが、同ミオカルジンまたはMRTFbによっては活性化されない。図12F:10MOIのβgal、ミオカルジン、MRTFa、またはNkx2−5によるアデノウイルスを形質導入した心筋細胞における各種のルシフェラーゼレポーターのトランスフェクション。sAnk1イントロン−luc(イントロン)は、心筋細胞におけるMRTFaに対して応答性である。sAnk1のプロモーター領域(prom.)を含有するコンストラクトは、心筋細胞におけるMRTFaに対して応答性でない。図12G:COS細胞内におけるsAnk1イントロンールシフェラーゼレポーターに対する突然変異解析。遠位CArG2に対する3’側の切断(trunc)または突然変異(mutC2)の結果、活性が失われる。10QB、25QB、および50QBは、MRTFaの異なる濃度を表す。 図13は、miR−486がPTENおよびFoxo1aを標的とし、Aktシグナル伝達を制御することを示す。図13A:PTENおよびFoxo1aについて予測される進化保存的な標的の3’UTR部位、および対応するmiR−486シード配列の説明図。図13B:PTEN遺伝子およびFoxo1a遺伝子の3’UTRならびに人工的なmiR−486結合部位(スポンジ(sponge))へと連結されたルシフェラーゼコンストラクトは、COS細胞内におけるmiR−486のトランスフェクションにより抑制される。 図13C:MRTFaにより誘導されるmiR−486の過剰発現時の心筋細胞においては、内因性PTENタンパク質レベルが低下し、これはまた、リン酸化Aktの増大も示す。図13D:STARSおよびMRTFaの共発現の結果、心筋細胞では、MRTFa単独の場合よりもしっかりとPTENが抑制される。STARSおよびMRTFaの共発現時には、Aktシグナル伝達の下流におけるリードアウトであるリン酸化Aktおよびリン酸化GSK3βが相乗的に誘導される。図13E:心筋細胞におけるsiRNAを介するmiR−486のノックダウンにより、MRTFaに応答するmiR−486レベルの増加が完全に消失する。図13F:miR−486に対するsiRNAにより、心筋細胞におけるPTENおよびFoxo1aの抑制ならびにAktシグナル伝達の活性化が解除される。図13G:心筋細胞において、アデノウイルスにより誘導されてmiR−486が発現する結果、PTENタンパク質レベルが低下する。 心臓のストレス応答におけるmiR−486発現の調節を示す。図14A:心筋梗塞(MI)3日後の境界域においてはmiR−486の発現が顕著に低下するのに対し、遠隔組織における発現は変化しない。MIの14日後までに、miR−486レベルは、境界域では正常となり、遠隔組織では増加する。図14B:非トランスジェニック同腹子と比較した、MHCα−miR−486トランスジェニックマウスの心臓におけるmiR−486発現の増加を示すノーザンブロット。図14C:MHCα−miR−486トランスジェニック動物は、非トランスジェニック同腹子と比較して、心臓におけるリン酸化Aktの増大を示す。] 図11A 図11B 図11C 図11D 図14A 図14B 図14C 図1A 図1B 図5A [0016] 近年、マイクロRNA(miRNAまたはmiR)は、とりわけ、発生のタイミング、アポトーシス、脂質代謝、および造血細胞分化の制御を包含する多数の生物学的過程に関与しているとされる。miRNAとは、配列特異的な形で遺伝子発現を調節する、約18〜約25ヌクレオチド長の、小型で、タンパク質をコードしないRNAである。miRNAは、それらの配列が完全に相補的である場合は標的mRNAの分解を促進することにより、またはそれらの配列がミスマッチを含有する場合は翻訳を阻害することにより、その抑制剤として作用する。] [0017] miRNAは、RNAポリメラーゼII(pol II)またはRNAポリメラーゼIIIにより転写され(pol III;Qiら(2006年)、Cellular & Molecular Immunology、第3巻、411〜419頁を参照されたい)、一次miRNA転写物(プリmiRNA)と呼ばれ、一般に数千塩基の長さであり、個々のmiRNA遺伝子、タンパク質コード遺伝子のイントロン、または複数の密接に関連するmiRNAをコードすることが多いポリシストロニックの転写物に由来する最初の転写物から生じる。Carringtonら(2003年)による総説を参照されたい。プリmiRNAは、核内においてRNアーゼDroshaにより約70〜約100ヌクレオチドのヘアピン形状の前駆体(プレmiRNA)へとプロセシングされる。細胞質への輸送後、ヘアピンプレmiRNAは、Dicerによりさらにプロセシングされて、二本鎖miRNAをもたらす(Leeら、1993年)。次いで、成熟miRNA鎖は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)内に組み込まれ、そこで、塩基対相補性により、その標的mRNAと会合する。miRNAが、mRNA標的と完全に塩基対形成する比較的まれな場合において、miRNAは、mRNAの分解を促進する。miRNAは、標的mRNAと不完全なヘテロ二重鎖を形成し、mRNAの安定性を損なうか、またはmRNAの翻訳を阻害することがより一般的である。] [0018] 無作為の(unbiased)マイクロアレイ法を用いて、本発明者らは、大動脈の平滑筋細胞内において豊富な2つのmiRNAクラスターを同定した。多重組織ノーザンブロットを用いて、本発明者らは、マウスの平滑筋細胞誘導体内におけるmiR−143/miR−145クラスターの発現を検証した。血管傷害後においてはmiR−143およびmiR−145が共に下方制御され、miR−143アゴニストの投与は、頸動脈結紮により誘導された新生内膜形成を軽減した(実施例3を参照されたい)。したがって、本発明は、miR−143およびmiR−145が平滑筋組織内において豊富であり、平滑筋の増殖を制御することが可能であり、血管傷害後における新生内膜形成を軽減しうるという発見に部分的に基づく。したがって、本発明は平滑筋細胞の増殖を阻害する方法を提供する。一実施形態において、該方法は、平滑筋細胞をmiR−143またはmiR−145のアゴニストと接触させる工程を含む。別の実施形態において、平滑筋細胞は、ヒト平滑筋細胞である。] [0019] 本発明者らはまた、心筋、骨格筋、および平滑筋において豊富なmiRNAであるmiR−486の過剰発現により、in vitroにおいて、PTENの3’UTRを含有するレポーターの翻訳が抑制されることも示した(実施例6を参照されたい)。生存促進Aktシグナル伝達に対する負の制御物質であるPTEN遺伝子は、動脈再狭窄および心筋梗塞に関する治療的探索の興味深い標的となっている(Huangら、2004年;MocanuおよびYellon、2007年)。ラットにおいてバルーンによる傷害を受けた頸動脈内におけるPTENの過剰発現は、新生内膜形成の軽減を結果としてもたらしている(Huangら、2004年)。したがって、平滑筋組織におけるmiR−486の阻害は、PTEN発現の増加、およびその後の新生内膜形成の軽減をもたらしうる。したがって、別の実施形態において、本発明は、平滑筋細胞の増殖を阻害する方法であって、平滑筋細胞をmiR−486阻害剤と接触させる工程を含む方法を提供する。] [0020] miR−143およびmiR−145は、ヒト第5染色体の遺伝子間領域内におけるマイクロRNAクラスターを含む。隣接する制御配列は、既に説明されている、ミオカルジンおよびMRTFの共活性化因子であるSRFタンパク質に対する保存的結合部位を含有する。miR−143およびmiR−145のプレmiRNA配列は、成熟配列およびスター配列にプロセシングされる。スター配列は、ステムループ構造の他の鎖からプロセシングされる。miR−143ならびにmiR−145の成熟配列およびスター配列は、以下: ヒト成熟miR−143(配列番号38) UGAGAUGAAGCACUGUAGCUC ヒトmiR−143*(配列番号91) GGUGCAGUGCUGCAUCUCUGGU ヒト成熟miR−145(配列番号51) GUCCAGUUUUCCCAGGAAUCCCU ヒトmiR−145*(配列番号92) GGAUUCCUGGAAAUACUGUUCU で示される。] [0021] miR−486は、筋細胞内において特異的に発現する代替的な転写物であるヒト第8染色体上のAnk1遺伝子の一部の、最後のイントロン内に位置する。隣接する制御配列は、SRFタンパク質に対する保存的結合部位を含有する。miR−486−5pのヒト配列はUCCUGUACUGAGCUGCCCCGAG(配列番号70)である。miR−486−3pのヒト配列はCGGGGCAGCUCAGUACAGGAU(配列番号93)であり、これは、ステムループ構造の他の鎖からプロセシングされる。] [0022] miR−422aは、第15染色体上に位置する遺伝子間マイクロRNAである。miR−486と同様、miR−422aもまた、MRTFaにより制御されることが判明した。隣接する制御配列は、SRFタンパク質に対する保存的結合部位を含有する。miR−422aの配列は5’−ACUGGACUUAGGGUCAGAAGGC−3’(配列番号94)である。] [0023] 一実施形態において、本発明は、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストあるいはmiR−486阻害剤を用いることにより平滑筋細胞の増殖を阻害する方法を提供する。別の実施形態において、本発明は、再狭窄または新生内膜形成の阻害を必要とする対象における再狭窄または新生内膜形成を阻害する方法を提供する。一実施形態において、該方法は、miR−486阻害剤を対象に投与する工程を含む。別の実施形態において、該方法は、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストを投与する工程を含む。別の実施形態において、該方法は、miR−143/miR−145アゴニストおよびmiR−486阻害剤を投与する工程を含む。さらに別の実施形態において、対象はヒトである。再狭窄とは、文言どおり、狭窄の再発生を意味する。再狭窄は通常、動脈または他の血管において生じるが、「遮断されていなかった」任意の中空器官においても生じる可能性がある。この用語は、血管形成術後における血管手術、心臓手術、介入的放射線学、または介入的心臓病学において一般的であり、これらはすべて、狭窄性病変および新生内膜を治療することが多い医学の分野である。miR−486阻害剤および/またはmiR−143/miR−145アゴニストの投与後において、再狭窄または新生内膜形成の1つもしくは複数の症状が軽減されることが好ましい。このような症状は、狭心症または心筋梗塞、およびさらなる血管形成術またはステント留置術の必要を含むがこれらに限定されない。] [0024] 一実施形態において、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストは、成熟miR−143配列および/または成熟miR−145配列を含むポリヌクレオチドでありうる。別の実施形態において、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストは、スターmiR−143配列および/またはスターmiR−145配列を含むポリヌクレオチドでありうる。一部の実施形態において、ポリヌクレオチドは、配列番号38、配列番号51、配列番号91、または配列番号92の配列を含む。別の実施形態において、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストは、miR−143および/またはmiR−145のプリmiRNA配列もしくはプレmiRNA配列を含むポリヌクレオチドでありうる。成熟miR−143/miR−145配列、プレmiR−143/プレmiR−145配列、またはプリmiR−143/プリmiR−145配列を含むポリヌクレオチドは、一本鎖の場合もあり、二本鎖の場合もある。該ポリヌクレオチドは、ロックト核酸、ペプチド核酸など、1つまたは複数の化学修飾、2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル)修飾、2’−フルオロ修飾、および4’チオ修飾などの糖修飾、ならびに1つもしくは複数のホスホロチオエート結合、モルホリノ結合、またはホスホノカルボキシレート結合などの骨格修飾を含有しうる。一実施形態において、miR−143および/またはmiR−145の配列を含むポリヌクレオチドは、コレステロールにコンジュゲートされる。別の実施形態において、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストは、miR−143および/またはmiR−145の機能を増大させるか、補完するか、または置換するように作用する、miR−143またはmiR−145とは異なる作用物質でありうる。例えば、それらのいずれもがmiR−143およびmiR−145の発現を上方制御する血清応答因子(SRF)またはミオカルジンは、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストでありうる。] [0025] 別の実施形態において、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストは、in vivoにおいてベクターから発現させることができる。「ベクター」とは、対象核酸を細胞内部へと送達するのに用いうる物質の組成物である。直鎖ポリヌクレオチド、イオン化合物または両親媒性化合物と会合したポリヌクレオチド、プラスミド、およびウイルスが含まれるがこれらに限定されない多数のベクターが当技術分野で知られている。したがって、「ベクター」という用語は、自己複製型のプラスミドまたはウイルスを包含する。ウイルスベクターの例には、アデノウイルスベクター、アデノ関連ウイルスベクター、レトロウイルスベクターなどが含まれるがこれらに限定されない。発現コンストラクトは、生細胞内で複製することもでき、合成することもできる。本出願の目的では、「発現コンストラクト」、「発現ベクター」、および「ベクター」は、互換的に用いられ、一般的で例示的な意味において本発明の適用を示すものであり、本発明を限定することを意図するものではない。] [0026] 一実施形態において、miR−143および/またはmiR−145を発現する発現ベクターは、miR−143および/またはmiR−145をコードするポリヌクレオチドに「作動的に連結された(operably linked)」プロモーターを含む。別の実施形態において、ポリヌクレオチドは、miR−143/miR−145クラスターをコードしうる。本明細書で用いられる「作動的に連結された」または「転写制御下にある」という語句は、プロモーターが、ポリヌクレオチドに対して、RNAポリメラーゼによる転写の開始および該ポリヌクレオチドの発現を制御するのに適正な位置および方向にあることを意味する。miR−143および/またはmiR−145をコードするポリヌクレオチドは、一次マイクロRNA−miR−143配列および/または一次マイクロRNAmiR−145配列(プリmiR-miR-143/プリmiR-145)、前駆体マイクロRNA−miR−143配列および/または前駆体マイクロRNAmiR−145配列(プレmiR-miR-143/プレmiR-145)、成熟miR−143配列および/または成熟miR−145配列、あるいはスターmiR−143配列および/またはスターmiR−145配列をコードしうる。別の実施形態において、発現ベクターは、配列番号38の配列を含む、プロモーターに作動的に連結されたポリヌクレオチドを含む。別の実施形態において、発現ベクターは、配列番号51の配列を含む、プロモーターに作動的に連結されたポリヌクレオチドを含む。さらに別の実施形態において、発現ベクターは、配列番号91または配列番号92の配列を含む、プロモーターに作動的に連結されたポリヌクレオチドを含む。配列番号38、配列番号51、配列番号91、または配列番号92の配列を含むポリヌクレオチドは、約18〜約2000ヌクレオチド長、約70〜約200ヌクレオチド長、約20〜約50ヌクレオチド長、または約18〜約25ヌクレオチド長でありうる。] [0027] 特定の実施形態において、対象のポリヌクレオチドをコードする核酸は、プロモーターの転写制御下にある。「プロモーター」とは、細胞の合成機構または導入された合成機構により認識され、遺伝子に特異的な転写を開始するのに必要とされるDNA配列を指す。本明細書において、プロモーターという用語は、RNAポリメラーゼI、II、またはIIIの開始部位の周囲にクラスター化した転写制御モジュール群を指すのに用いられる。] [0028] 一部の実施形態では、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)前初期遺伝子プロモーター、SV40初期プロモーター、ラウス肉腫ウイルス長末端反復、ラットインスリンプロモーター、およびグリセルアルデヒド−3−リン酸デヒドロゲナーゼを用いて、対象のポリヌクレオチド配列の高レベルの発現を得ることができる。発現レベルが所与の目的に十分である場合は、対象のポリヌクレオチド配列の発現を達成するための、当技術分野でよく知られる他のウイルスプロモーター、哺乳動物細胞プロモーター、または細菌ファージプロモーターの使用もまた意図される。] [0029] 特性がよく知られたプロモーターを用いることにより、トランスフェクションまたは形質転換後における対象ポリヌクレオチドの発現レベルおよび発現パターンを最適化することができる。さらに、特異的な生理学的シグナルに応答して制御されるプロモーターの選択により、該ポリヌクレオチドの誘導発現も可能とすることができる。表1および2では、本発明の関連において、対象ポリヌクレオチド(例えば、miR−143、miR−145、miR−486、および/またはmiR−422aのアゴニストもしくは阻害剤)の発現を制御するのに用いうる複数の制御エレメントが一覧される。この一覧は、遺伝子発現の促進に関与する可能なすべてのエレメントの枚挙を意図するものではなく、単にこれらの例示を意図するものである。] [0030] 以下は、発現コンストラクトにおいて対象ポリヌクレオチドと組み合わせて用いうるウイルスプロモーター、細胞プロモーター/エンハンサー、および誘導プロモーター/エンハンサーの一覧である(表1および表2)。加えて、ポリヌクレオチドの発現を駆動するには、任意のプロモーター/エンハンサーの組合せ(真核生物プロモーターデータベース:EPDBによる)もまた用いうるであろう。送達複合体またはさらなる遺伝子発現コンストラクトの一部として適切な細菌ポリメラーゼが提供される場合、真核細胞は、細胞質内における、特定の細菌プロモーターからの細胞質転写を支援しうる。] [0031] ] [0032] ] [0033] ] [0034] ] [0035] 筋特異的プロモーター、またより特定すれば、心臓特異的プロモーターが特に興味深い。これらには、ミオシン軽鎖2プロモーター(Franzら、1994年;Kellyら、1995年)、アルファアクチンプロモーター(Mossら、1996年)、トロポニン1プロモーター(Bhavsarら、1996年)、Na/Ca2交換プロモーター(Barnesら、1997年)、ジストロフィンプロモーター(Kimuraら、1997年)、アルファ7インテグリンプロモーター(Ziober and Kramer、1996年)、脳ナトリウム利尿ペプチドプロモーター(LaPointeら、1996年)、およびアルファB−クリスタリン/低分子熱ショックタンパク質プロモーター(Gopal-Srivastava、1995年)、アルファミオシン重鎖プロモーター(Yamauchi-Takiharaら、1989年)、およびANFプロモーター(LaPointeら、1988年)が含まれる。] [0036] 所望の場合は、ポリアデニル化シグナルを組み入れて、遺伝子転写物の適正なポリアデニル化を実行することができる。ポリアデニル化シグナルの性質が本発明の実施を成功させるのに決定的であるとは考えられず、ヒト成長ホルモンのポリアデニル化シグナルおよびSV40のポリアデニル化シグナルなど、任意のこのような配列を用いることができる。ターミネーターもまた発現カセットのエレメントとして意図される。これらのエレメントは、メッセージレベルを増強し、該カセットから他の配列内へのリーディングを最小化するのに用いることができる。] [0037] 本発明の特定の実施形態では、発現コンストラクト内にマーカーを組み入れることにより、in vitroまたはin vivoにおいて本発明の核酸コンストラクトを含有する細胞を同定することができる。このようなマーカーによれば、細胞に同定可能な変化が付与され、発現コンストラクトを含有する細胞を容易に同定することが可能となろう。通常、薬剤選択マーカーの組み入れは、形質転換体のクローニングおよび選択を支援し、例えば、ネオマイシン、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、DHFR、GPT、ゼオシン、およびヒスチジノールに対する耐性を付与する遺伝子が、有用な選択マーカーである。あるいは、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ(tk)またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)などの酵素も用いることができる。免疫学的マーカーもまた用いることができる。それが遺伝子産物をコードする核酸と同時に発現可能である限りにおいて、用いられる選択マーカーが重要であるとは考えられない。選択マーカーのさらなる例は、当業者によく知られている。] [0038] 発現ベクターを細胞内に導入しうる多数の方法が存在する。本発明の特定の実施形態において、発現コンストラクトは、ウイルス、またはウイルスゲノムに由来する操作されたコンストラクトを含む。特定のウイルスが、受容体を介するエンドサイトーシスにより細胞に侵入し、宿主細胞ゲノム内に組み込まれ、安定的かつ効果的にウイルス遺伝子を発現する能力により、該ウイルスは、哺乳動物細胞内に外来遺伝子を導入するのに魅力的な候補物質となっている(Ridgeway、1988年;NicolasおよびRubenstein、1988年;BaichwalおよびSugden、1986年;Temin、1986年)。] [0039] in vivoにおける送達に好ましい方法の1つは、アデノウイルス発現ベクターの使用を伴う。「アデノウイルス発現ベクター」とは、(a)コンストラクトのパッケージングを支援し、(b)その中にクローニングされたポリヌクレオチドを発現するのに十分なアデノウイルス配列を含有するコンストラクトを含むことを意味する。発現ベクターは、アデノウイルスの遺伝子操作形態を含む。36kBで直鎖の二本鎖DNAウイルスであるアデノウイルスの遺伝子構成についての知識により、アデノウイルスDNAの大型断片に対する最大7kBの外来配列による置換が可能となる(GrunhausおよびHorwitz、1992年)。アデノウイルスDNAは、潜在的な遺伝毒性なしに、エピソーム的な形で複製されうるので、レトロウイルスとは対照的に、宿主細胞に対するアデノウイルス感染は、染色体の組込みを結果としてもたらさない。また、アデノウイルスは構造的にも安定的であり、大規模な増幅後においてもゲノムの再配列は検出されていない。アデノウイルスは、それらの細胞周期段階に関わらず、ほとんどすべての上皮細胞に感染しうる。] [0040] アデノウイルスは、そのゲノムサイズが中規模であり、操作が容易であり、力価が高く、標的細胞の範囲が広く、感染性が高度であるために、遺伝子導入ベクターとしての使用に特に適する。ウイルスゲノムの両端は、ウイルスDNAの複製およびパッケージングに必要なシスエレメントである、100〜200塩基対の逆方向反復(ITR)を含有する。] [0041] アデノウイルスベクターが複製欠損型であるか、または少なくとも条件付き欠損型であるという要請以外のアデノウイルスベクターの性質は、本発明の実施の成功に決定的であると考えられない。アデノウイルスは、42の既知の異なる血清型またはサブグループA〜Fのいずれかでありうる。本発明において用いられる条件付き複製欠損型アデノウイルスベクターを得るためには、サブグループCの5型アデノウイルスが好ましい出発物質である。これは、5型アデノウイルスが、それについて多くの生化学的情報および遺伝学的情報が知られるヒトアデノウイルスであり、アデノウイルスをベクターとして用いる多くのコンストラクトに用いられてきた来歴を有するからである。] [0042] 本発明による典型的なベクターは複製欠損型であり、アデノウイルスE1領域を有さない。したがって、E1コード配列が除去された位置に、対象遺伝子をコードするポリヌクレオチドを導入することが最も好都合である。しかし、アデノウイルス配列内におけるコンストラクトの挿入位置は、本発明にとってさほど重要ではない。対象遺伝子をコードするポリヌクレオチドはまた、Karlssonら(1986年)により説明される通り、E3置換ベクターにおいて欠失するE3領域の代わりに挿入することもでき、ヘルパー細胞株またはヘルパーウイルスがE4欠損を補完するE4領域に挿入することもできる。] [0043] アデノウイルスベクターは、真核生物の遺伝子発現(Levreroら、1991年;Gomez-Foixら、1992年)およびワクチン開発(GrunhausおよびHorwitz、1992年;GrahamおよびPrevec、1991年)において用いられている。近年では、動物試験により、組換えアデノウイルスを遺伝子治療に用いうることが示唆されている(Stratford-PerricaudetおよびPerricaudet、1991年;Stratford-Perricaudetら、1990年; Richら、1993年)。組換えアデノウイルスの異なる組織への投与についての試験には、気管内滴下(Rosenfeldら、1991年;Rosenfeldら、1992年)、筋肉注射(Ragotら、1993年)、末梢静脈内注射(HerzおよびGerard、1993年)、および脳内への定位接種(Le Gal La Salleら、1993年)が含まれる。] [0044] レトロウイルスベクターもまた、細胞内において、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486のアゴニストを発現するのに適する。レトロウイルスとは、逆転写過程により、自らのRNAを、感染された細胞内の二本鎖DNAへと転換する能力を特徴とする、一本鎖RNAウイルス群である(Coffin、1990年)。次いで、結果としてもたらされるDNAがプロウイルスとして細胞の染色体内に安定的に組み込まれ、ウイルスタンパク質の合成を誘導する。この組込みの結果、レシピエント細胞およびその後代内において、ウイルス遺伝子配列が保持される。レトロウイルスゲノムは、それぞれ、カプシドタンパク質、ポリメラーゼ酵素、およびエンベロープ成分をコードする3つの遺伝子である、gag、pol、およびenvを含有する。gag遺伝子の上流に見出される配列は、該ゲノムをビリオン内にパッケージングするためのシグナルを含有する。2つの長末端反復(LTR)配列は、該ウイルスゲノムの5’端および3’端に存在する。これらは、強力なプロモーター配列およびエンハンサー配列を含有し、また、宿主細胞ゲノム内への組込みにも必要とされる(Coffin、1990年)。] [0045] レトロウイルスベクターを構築するには、対象遺伝子をコードする核酸を、特定のウイルス配列の代わりにウイルスゲノム内に挿入し、複製欠損型のウイルスを作製する。ビリオンを作製するには、gag遺伝子、pol遺伝子、およびenv遺伝子は含有するが、LTRおよびパッケージング成分は有さないパッケージング細胞株を構築する(Mannら、1983年)。レトロウイルスのLTRおよびパッケージング配列と共にcDNAを含有する組換えプラスミドをこの細胞株内に導入する(例えば、リン酸カルシウム沈殿により)と、パッケージング配列により、組換えプラスミドのRNA転写物をウイルス粒子内にパッケージングさせることが可能となり、次いで、これらが培地内に分泌される(NicolasおよびRubenstein、1988年;Temin、1986年;Mannら、1983年)。次いで、組換えレトロウイルスを含有する培地を回収し、任意選択により濃縮し、遺伝子導入に用いる。レトロウイルスベクターは、多種多様な細胞型に感染可能である。しかし、組込みおよび安定的な発現には、宿主細胞の分割が必要とされる(Paskindら、1975年)。] [0046] 本発明では、他のウイルスベクターも発現コンストラクトとして用いることができる。牛痘ウイルス(Ridgeway、1988年;BaichwalおよびSugden、1986年;Couparら、1988年)、アデノ関連ウイルス(AAV)(Ridgeway、1988年;BaichwalおよびSugden、1986年;HermonatおよびMuzycska、1984年)、およびヘルペスウイルスなどのウイルスに由来するベクターを用いることができる。これらは、各種の哺乳動物細胞にとって魅力的な複数の特性を提供する(Friedmann、1989年;Ridgeway、1988年;BaichwalおよびSugden、1986年;Couparら、1988年;Horwichら、1990年)。] [0047] センスまたはアンチセンスの遺伝子コンストラクトの発現を実行するには、発現コンストラクトを細胞内に送達しなければならない。この送達は、細胞株を形質転換する実験室における手順の場合と同様にin vitroで達成することもでき、特定の疾患状態を治療する場合と同様にin vivoまたはex vivoで達成することもできる。送達の1つの機構は、発現コンストラクトが感染性ウイルス粒子内に封入されるウイルス感染を介する。] [0048] 培養された哺乳動物細胞内へと発現コンストラクトを導入するための、複数の非ウイルス法もまた、本発明により意図されている。これらには、リン酸カルシウム沈殿(GrahamおよびVan Der Eb、1973年;ChenおよびOkayama、1987年;Rippeら、1990年)、DEAEデキストラン(Gopal、1985年)、電気穿孔(Tur-Kaspaら、1986年;Porterら、1984年)、直接的なマイクロインジェクション(HarlandおよびWeintraub、1985年)、DNAを充填したリポソーム(NicolauおよびSene、1982年;Fraleyら、1979年)、およびリポフェクタミン−DNA複合体、細胞の超音波処理(Fechheimer et al., 1987)、高速マイクロプロジェクタイルを用いる遺伝子照射(Yangら、1990年)、および受容体を介するトランスフェクション(WuおよびWu、1987年;WuおよびWu、1988年)が含まれる。これらの技法の一部は、in vivoまたはex vivoにおける使用にうまく適合させることができる。] [0049] 発現コンストラクトが細胞内に送達されたら、対象遺伝子をコードする核酸を異なる部位に配置し、発現させることができる。特定の実施形態において、該遺伝子をコードする核酸は、細胞ゲノム内に安定的に組み込むことができる。この組込みは、相同組換えにより同種の位置および方向でも可能であり(遺伝子置換)、無作為的で非特異的な位置に組み込むこともできる(遺伝子増強)。またさらなる実施形態において、核酸は、DNAの個別のエピソームセグメントとして細胞内に安定的に維持することもできる。このような核酸セグメントまたは「エピソーム」は、宿主細胞周期とは無関係に、またはこれと同期して、その維持および複製を可能とするのに十分な配列をコードする。発現コンストラクトを細胞へとどのようにして送達するか、また、該細胞のどこに核酸が保持されるかは、用いられる発現コンストラクトの種類に依存する。] [0050] 本発明のさらに別の実施形態において、発現コンストラクトは、裸の組換えDNAまたはプラスミドだけからなる場合がある。該コンストラクトの導入は、細胞膜を物理的または化学的に透過する、上記の方法のいずれかにより実施することができる。これは、特に、in vitroにおける導入に適用可能であるが、in vivoにおける使用にも適用することができる。Dubenskyら(1984年)は、成体マウスおよび新生仔マウスの肝臓内および脾臓内へと、リン酸カルシウム沈殿物の形態でポリオーマウイルスDNAを注射することに成功し、これにより、活発なウイルス複製および急速な感染が示された。BenvenistyおよびNeshif(1986年)もまた、リン酸カルシウムにより沈殿させたプラスミドの直接的な腹腔内注射の結果、形質転換遺伝子が発現することを示した。対象遺伝子をコードするDNAはまた、in vivoにおいても同様の形で導入することができ、遺伝子産物を発現しうることが想定される。] [0051] 裸のDNA発現コンストラクトを細胞内に導入するための、本発明のさらに別の実施形態は、粒子照射を伴う。この方法は、DNAでコーティングしたマイクロプロジェクタイルを、それらが細胞膜を穿通し、細胞を死滅させずにそれらに侵入することを可能とする高速まで加速させる能力に依存する(Kleinら、1987年)。微小粒子を加速させるための、複数のデバイスが開発されている。このようなデバイスの1つは、電流を発生させる高電圧放電を利用し、この電流により起動力がもたらされる(Yangら、1990年)。用いられるマイクロプロジェクタイルは、タングステンビーズまたは金ビーズなど、生物学的に不活性な物質からなっている。] [0052] ラットおよびマウスの肝臓組織、皮膚組織、および筋肉組織を包含する、選択された臓器がin vivoで照射されている(Yangら、1990;Zeleninら、1991年)。これには、微粒子銃と標的臓器との間に介在する組織を除去するための、手術による組織または細胞の曝露、すなわち、ex vivoにおける処置を必要とする場合がある。また、この方法により特定の遺伝子をコードするDNAを送達することもでき、これもまた本発明により組み込まれる。] [0053] 本発明のさらなる実施形態において、発現コンストラクトは、リポソーム内に封入することもできる。リポソームとは、リン脂質二重層膜および内部の水性媒体を特徴とする小胞構造である。多重膜リポソームは、水性媒体により分離される複数の脂質層を有する。それらは、リン脂質が過剰な水溶液中に懸濁すると自発的に形成される。脂質成分は、閉鎖構造の形成前に自己再編成を受け、水と脂質二重層間において溶解した溶質とを封入する(OhoshおよびBachhawat、1991年)。また、リポフェクタミン−DNA複合体も意図される。] [0054] 本発明の特定の実施形態において、リポソームは、センダイウイルス(HVJ)と複合させることができる。これは、細胞膜との融合を促進し、リポソームに封入されたDNAの細胞への侵入を促進することが示されている(Kanedaら、1989年)。他の実施形態において、リポソームは、核内非ヒストン性染色体タンパク質(HMG-I)と複合させることもでき、これと共に用いることもできる(Katoら、1991年)。またさらなる実施形態において、リポソームは、HVJおよびHMG−Iの両方と複合させることもでき、これらと共に用いることもできる。このような発現コンストラクトは、in vitroおよびin vivoにおける核酸の導入および発現において用いられて成功しているので、本発明に適用可能である。DNAコンストラクトにおいて細菌プロモーターが用いられる場合、リポソーム内にはまた、適切な細菌ポリメラーゼも組み入れることが望ましい。] [0055] 特定の遺伝子をコードする核酸を細胞内に送達するのに用いうる他の発現コンストラクトは、受容体を介する送達媒体(delivery vehicle)である。これらは、ほとんどすべての真核細胞内における、受容体を介するエンドサイトーシスによる高分子の選択的な取込みを利用する。細胞型に特異的な各種の受容体の分布のため、送達は高度に特異的である(WuおよびWu、1993年)。] [0056] 受容体を介する遺伝子標的化媒体は一般に、2つの成分:細胞受容体特異的なリガンドおよびDNA結合剤からなる。受容体を介する遺伝子導入には、複数のリガンドが用いられている。最も広範に特徴づけられているリガンドは、アシアロ糖タンパク質(ASOR)(WuおよびWu、1987年)およびトランスフェリン(Wagnerら、1990年)である。近年では、ASORと同じ受容体を認識する合成ネオ糖タンパク質が遺伝子送達媒体として用いられており(Ferkolら、1993年;Peralesら、1994年)、上皮成長因子(EGF)もまた、遺伝子を扁平上皮細胞へと送達するのに用いられている(Myers、EPO0273085)。] [0057] 他の実施形態において、送達媒体は、リガンドおよびリポソームを含みうる。例えば、Nicolauら(1987年)は、ガラクトース末端におけるアシアロガングリオシドである、ラクトシル−セラミドをリポソーム内に組み込んで用い、肝細胞によるインスリン遺伝子の取込みの増大を観察した。したがって、リポソームを伴う場合であれ、そうでない場合であれ、特定の遺伝子をコードする核酸を、任意の数の受容体−リガンド系により細胞型内に特異的に送達することもまた実現可能である。例えば、上皮成長因子(EGF)は、それを介して、EGF受容体の上方制御を示す細胞内へと核酸を送達するための受容体として用いることができる。マンノースは、肝細胞上におけるマンノース受容体を標的とするのに用いることができる。また、CD5(CLL)、CD22(リンパ腫)、CD25(細胞白血病)、およびMAA(黒色腫)に対する抗体も同様に、標的化部分として用いることができる。] [0058] 具体例では、オリゴヌクレオチドをカチオン脂質と組み合わせて投与することができる。カチオン脂質の例には、リポフェクチン、DOTMA、DOPE、およびDOTAPが含まれるが、これらに限定されない。参照により具体的に組み込まれる出願公開WO/0071096は、遺伝子治療に有効に用いうるDOTAP:コレステロール製剤またはDOTAP:コレステロール誘導体製剤などの異なる製剤について説明している。他の開示もまた、ナノ粒子および投与法を包含する、異なる脂質製剤またはリポソーム製剤について論じており、これらには、それらが製剤と、核酸の投与および送達の他の関連する態様とについて開示する程度において参照により具体的に組み込まれる、米国特許公開第20030203865号、同第20020150626号、同第20030032615号、および同第20040048787号が含まれるがこれらに限定されない。粒子を形成するのに用いられる方法はまた、これらの態様に関して参照により組み込まれる、米国特許第5,844,107号、同第5,877,302号、同第6,008,336号、同第6,077,835号、同第5,972,901号、同第6,200,801号、および同第5,972,900号においても開示されている。] [0059] 特定の実施形態において、遺伝子導入は、ex vivoにおける条件下でより容易に実施することができる。ex vivoにおける遺伝子治療とは、動物から細胞を単離し、in vitroにおいて核酸を細胞内へと送達し、次いで、改変された細胞を動物内へと再び戻すことを指す。これは、手術による動物からの組織/臓器の摘出、または細胞および組織の初代培養物を伴う。] [0060] 本発明の別の実施形態において、平滑筋細胞の増殖を阻害する方法は、平滑筋細胞をmiR−486阻害剤と接触させる工程を含む。本発明のさらに別の実施形態において、再狭窄または新生内膜形成の阻害を必要とする対象における再狭窄または新生内膜形成を阻害する方法は、該対象にmiR−486阻害剤を投与する工程を含む。miR−486阻害剤には、アンタゴmir、アンチセンスオリゴヌクレオチド、および阻害性RNA分子が含まれうる。] [0061] マイクロRNA機能の阻害は、miR−486の成熟配列を標的とするアンチセンスオリゴヌクレオチドを投与することにより達成することができる。該アンチセンスオリゴヌクレオチドは、リボヌクレオチドの場合もあり、デオキシリボヌクレオチドの場合もある。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、少なくとも1つの化学修飾を有することが好ましい。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、1つまたは複数の「ロックト核酸」を含みうる。「ロックト核酸」(locked nucleic acid、LNA)とは、該LNAを含有するオリゴヌクレオチドに熱的安定性の増強を付与する「ロックした」立体構造を結果としてもたらす、リボース糖部分の2’炭素と4’炭素との間における余剰の架橋を含有する、修飾リボヌクレオチドである。あるいは、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、糖−リン酸骨格ではなく、ペプチドベースの骨格を含有するペプチド核酸(PNA)も含みうる。アンチセンスオリゴヌクレオチドが含有しうる他の化学修飾には、2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル)修飾、2’−フルオロ修飾、および4’チオ修飾などの糖修飾、ならびに1つもしくは複数のホスホロチオエート結合、モルホリノ結合、またはホスホノカルボキシレート結合などの骨格修飾が含まれるがそれだけに限らない(例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第6,693,187号および同第7,067,641を参照されたい)。一部の実施形態において、適切なアンチセンスオリゴヌクレオチドは、中央に少なくとも10のデオキシリボヌクレオチドを伴い、5’端および3’端の両方において2’−O−メトキシエチル修飾されたリボヌクレオチドを含有する、2’−O−メトキシエチル「ギャップマー」である。これらの「ギャップマー」は、RNA標的に対するRNアーゼによるH依存型分解機構を誘発することが可能である。参照によりその全体において本明細書に組み込まれる米国特許第6,838,283号において説明される修飾など、安定性を増強し有効性を改善するための、アンチセンスオリゴヌクレオチドに対する他の修飾は当技術分野において知られており、本発明の方法において用いるのに適している。マイクロRNAの活性を阻害するのに有用な好ましいアンチセンスオリゴヌクレオチドは約19〜約25ヌクレオチド長である。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、成熟miRNA配列に対して少なくとも部分的に相補的な配列、例えば、成熟miRNA配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相補的な配列を含みうる。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、成熟miRNA配列に対して実質的に相補的でありうる、すなわち、標的ポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%相補的でありうる。一実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、成熟miRNA配列に対して100%相補的な配列を含む。] [0062] 一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、アンタゴmirである。「アンタゴmir」とは、miRNA配列に対して少なくとも部分的に相補的な、一本鎖の化学修飾されたリボヌクレオチドである。アンタゴmirは、2’−O−メチル糖修飾など、1つまたは複数の修飾ヌクレオチドを含みうる。一部の実施形態において、アンタゴmirは、修飾ヌクレオチドだけを含む。アンタゴmirはまた、部分的または完全なホスホロチオエート骨格を結果としてもたらす、1つまたは複数のホスホロチオエート結合も含みうる。in vivoにおける送達および安定性を促進するため、その3’端において、アンタゴmirをコレステロールまたは他の部分へと連結することができる。miRNAを阻害するのに適するアンタゴmirは、約15〜約50ヌクレオチド長、より好ましくは約18〜約30ヌクレオチド長、また最も好ましくは約20〜約25ヌクレオチド長でありうる。「部分的に相補的な」とは、標的ポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相補的な配列を指す。アンタゴmirは、成熟miRNA配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%相補的でありうる。一部の実施形態において、アンタゴmirは、成熟miRNA配列に対して実質的に相補的でありうる、すなわち、標的ポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%相補的でありうる。他の実施形態において、アンタゴmirは、成熟miRNA配列に対して100%相補的である。] [0063] miR−486の機能を阻害する別の手法は、miR−486の成熟配列に対して少なくとも部分的に同一であり、部分的に相補的な二本鎖領域を有する阻害性RNA分子を投与することである。阻害性RNA分子は、二本鎖の小型干渉RNA(siRNA)分子の場合もあり、ステムループ構造を有する短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子の場合もある。阻害性RNA分子の二本鎖領域は、成熟miRNA配列に対して少なくとも部分的に同一であり、部分的に相補的な配列、例えば、これに対して約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一でありかつ相補的な配列を含みうる。一部の実施形態において、阻害性RNAの二本鎖領域は、成熟miRNA配列に対して少なくとも実質的に同一であり、実質的に相補的な配列を含む。「実質的に同一であり、実質的に相補的な」とは、標的ポリヌクレオチド配列に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、または99%同一であり、かつ、相補的な配列を指す。他の実施形態において、阻害性RNAの二本鎖領域は、標的miRNA配列に対する100%の同一性および相補性を含有しうる。] [0064] 本明細書に記載の阻害性ヌクレオチド分子は、miR−486の成熟配列(例えば、配列番号70または配列番号93)を標的とすることが好ましい。一部の実施形態において、miR−486阻害剤は、miR−486の成熟配列に対して完全に相補的な配列を含むアンタゴmirである。一実施形態において、miR−486阻害剤は、配列番号70または配列番号93に対して部分的または完全に相補的な配列を有するアンタゴmirである。] [0065] 一部の実施形態において、miR−486阻害剤は、化学修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。一実施形態において、miR−486阻害剤は、配列番号70または配列番号93に対して実質的に相補的な配列を含む、化学修飾されたアンチセンスオリゴヌクレオチドである。本明細書で用いられる「実質的に相補的な」とは、標的ポリヌクレオチド配列(例えば、成熟miRNA配列または前駆体miRNA配列)に対して少なくとも約95%、96%、97%、98%、99%、または100%相補的な配列を指す。] [0066] アンチセンスオリゴヌクレオチドは、miR−486の前駆体miRNA配列(プレmiRNA)(例えば、プレmiR-486)に対して実質的に相補的な配列を含みうる。一部の実施形態において、アンチセンスオリゴヌクレオチドは、プレmiRNA配列のステムループ領域の外側に位置する配列に対して実質的に相補的な配列を含む。] [0067] 本発明の他の実施形態において、miR−486阻害剤は、リボザイム、siRNA、またはshRNAなどの阻害性RNA分子でありうる。一実施形態において、miR−486阻害剤は、miR−486の成熟配列(例えば、配列番号70または配列番号93)に対して100%の同一性および相補性を有する配列を含む二本鎖領域を含む阻害性RNA分子である。一部の実施形態において、miR−486阻害剤は、miR−486の成熟配列に対して少なくとも約75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%同一であり、かつ、相補的な配列を含む二本鎖領域を含む阻害性RNA分子である。] [0068] 本発明の別の実施形態において、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストあるいはmiR−486阻害剤は、他の治療モダリティー、例えば、再狭窄または新生内膜形成を阻害する他の作用物質と組み合わせて用いることができる。心臓病専門医は、再狭窄の危険性を低下させるいくつかの手法を試みている。ステント留置術がより一般的となりつつあり、バルーン血管形成術に代わりつつある。ステント留置術の手順では、動脈壁に対して金属製のメッシュ(ステント)を配置して、該動脈の再血管新生を行う。他の手法には、局所的放射線療法およびステント留置用のメッシュ上にコーティングした免疫抑制薬の使用が含まれる。したがって、組合せ療法の例には、前出のいずれかが含まれる。] [0069] 組合せは、血管平滑筋細胞を、両方の作用物質を包含する単一の組成物または医薬製剤と接触させることによるか、または該細胞を2つの異なる組成物または製剤であって、1つの組成物がmiR−143/miR−145アゴニストおよび/またはmiR−486阻害剤を包含し、他の組成物が第2の作用物質を包含する組成物または製剤と同時に接触させることにより達成することができる。あるいは、miR−143/miR−145アゴニストおよび/またはmiR−486阻害剤を用いる療法は、数分間〜数週間の範囲の間隔で(1つまたは複数の)他の作用物質の投与に先行または後続しうる。他の作用物質およびmiR−143/miR−145アゴニストまたはmiR−486阻害剤が細胞に対して個別に適用される実施形態でならば一般に、該作用物質およびmiR−143/miR−145アゴニストまたはmiR−486阻害剤が、細胞に対して依然として有利な組合せ効果を及ぼしうるように、各送達時点の間で長時間が経過しないようにする。このような場合、細胞を両方のモダリティーと、互いに約12〜24時間以内、より好ましくは互いに6〜12時間以内に接触させることが典型的であり、約12時間のみの遅延時間が最も好ましいことが意図される。しかし、一部の状況では、治療期間を顕著に延長することが望ましい場合もあり、この場合、各投与の間において、数日間(2、3、4、5、6、または7日間)〜数週間(1、2、3、4、5、6、7、または8週間)が経過する。] [0070] miR−143/miR−145アゴニストもしくはmiR−486阻害剤、または他の作用物質の複数回の投与が望ましいこともまた考えられる。この点では、各種の組合せを用いることができる。例示を目的として述べると、miR−143/miR−145アゴニストまたはmiR−486阻害剤が「A」であり、他の作用物質が「B」である場合、合計投与回数3および4回に基づく以下: の順列が例示的である。他の組合せも同様に意図される。「他の」療法の具体例は、以下に記載される。] [0071] 本発明の別の実施形態において、再狭窄または新生内膜形成の阻害を必要とする対象における再狭窄または新生内膜形成を阻害する方法は、再狭窄または新生内膜形成を阻害する第2の作用物質を該対象に投与する工程をさらに含む。本明細書で抗再狭窄剤であることが示される具体的な作用物質には、アンジオテンシン転換酵素阻害剤;ニコチン受容体アゴニスト、一酸化窒素濃度を増大させる作用物質、抗血管新生剤、TGF−β受容体アゴニスト;デスドメイン受容体リガンド;およびトロンビン阻害剤が含まれる。該作用物質は、ポリペプチド、ペプチド、有機低分子、対象ポリペプチドをコードする核酸などの形態で送達することができる。ポリペプチドは、サイズおよびグリコシル化に関わらず、任意の核酸翻訳産物でありうる。作用物質はまた、単純な薬剤、ペプチド、ペプチドフラグメント、DNA、RNA、リボザイム、あるいは核酸およびペプチドもしくはペプチドフラグメントまたは各々の誘導体の改変ハイブリッドの形態でもありうる。通常は免疫抑制剤として用いられるが、血管の平滑筋細胞の増殖もまた阻害することが近年発見されているタクロリムス(FK−506)、シロリムス、およびエベロリムスなどのラパマイシン類似体は、臨床試験において、再狭窄の阻止において極めて有効であると考えられている。細胞複製の進行にとって極めて重要なタンパク質であるc−mycに対するアンチセンスによるノックダウンは、動脈壁における細胞増殖を阻害する別の手法であり、mオリゴを用いる準備的な臨床試験が行われている。] [0072] アンジオテンシン転換酵素阻害剤(ACE-I)は、降圧作用および腎保護作用のために用いられる。ACE阻害剤には、カプトプリル、ベナゼプリル、エナラプリル、フォシノプリル、リシノプリル、キナプリル、ラミプリル、イミダプリル、ペリンドプリル、エルブミン、およびトランドラプリルが含まれるが、これらに限定されない。ACE阻害剤の代わりに、またはこの他にACE受容体遮断剤もまた用いることができ、これらには、ロサルタン、イルベサルタン、カンデサルタン、シレキセチル、およびバルサルタンが含まれる。ニコチン受容体アゴニスト、例えば、ニコチン(S−3−(1−メチル−2−ピロリジニル)ピリジン)およびニコチン受容体に実質上特異的に結合し、薬理学的効果をもたらす他の化合物は薬理的効果を提供する。「ニコチン受容体アゴニスト」は、天然の化合物(低分子、ポリペプチド、ペプチドなど、特に、天然の植物アルカロイドなどが含まれるが、これらに限定されない)、内因性リガンド(例えば、天然供給源から精製されるか、組換えにより作製されるか、または合成であり、このような内因性リガンドの誘導体および変異体がさらに含まれる)、および合成により作製された化合物(例えば、低分子、ペプチドなど)を包含する。「ニコチン」という用語は、ニコチンに類似する薬物療法特性を示す、薬理学的に許容される任意のニコチン誘導体またはニコチン代謝物をさらに包含する。このような誘導体、代謝物、および代謝物の誘導体は当技術分野で知られており、これらにはコチニン、ノルコチニン、ノルニコチン、ニコチンN−オキシド、コチニンN−オキシド、3−ヒドロキシコチニン、および5−ヒドロキシコチニン、またはこれらの薬学的に許容される塩が含まれるが、必ずしもこれらに限定されない。] [0073] 例えば、S−ニトロソペニシラミン、ニトロプルシドナトリウム、N−エチル−2−(1−エチル−2−ヒドロキシ−2ニトロソヒドラジノ)エタンアミン(NOC 12)など、一酸化窒素を増大させる作用物質は、抗再狭窄剤として興味深い。一酸化窒素の生成はまた、酵素である一酸化窒素シンターゼに対するそれらの効果により、γ−インターフェロン、腫瘍壊死因子、IL−1、IL−2などのサイトカイン、およびエンドトキシンによっても調節することができる。NOシンターゼの誘導的形態はサイトカインにより増大するが、その構成的形態はサイトカインにより減少すると考えられる。Liaoらによる米国特許第6,147,109号により説明される通り、HMG−CoAレダクターゼ阻害剤は、内皮細胞のNOS活性を上方制御することが判明している。一酸化窒素シンターゼの任意の形態は、タンパク質もしくはそれに由来する活性フラグメントとして用いることもでき、発現のDNAコンストラクトとして用いることもできる。] [0074] 抗血管新生効果を有する化合物もまた、再狭窄の阻害にとって興味深い。これらには、抗抗血管新生ポリペプチド:アンジオスタチン(O'Reillyら、1994年);エンドスタチン(O'Reillyら、1997年);および抗血管新生抗トロンビンIII(Bockら、1982年)などが含まれ、これらの機能的に活性な変異体および誘導体がさらに含まれる。他の抗血管新生剤には、マトリックスメタロプロテアーゼ阻害剤、例えば、アミフォスチン、WR−1065;マリマスタット、プリモマスタット、α−1抗トリプシン;スフィンゴシンなどが含まれる。] [0075] あるいは、トロンビンを遮断する化合物、および他の抗凝血剤を用いて再狭窄を阻害することもでき、このような化合物は、3つのペプチドモチーフD−Phe−Pro−Argに基づいている(例えば、LY287045など)。当技術分野では、イノガトランおよびメラガトランなど、多くの化合物が知られている。非限定的な例としては、とりわけ、米国特許第6,326,386号;同第6,232,315号;同第6,201,006号;同第6,174,855号;同第6,060,451号;および同第5,985,833号を参照されたい。] [0076] TGF−β受容体アゴニストもまた重要である。TGF−β受容体のI型およびII型により、大半のTGF−β活性が媒介される(Ebnerら、1993年;およびFranzenら、1993年)。リガンドには、TGF−β、ならびにその模倣体および生物学的に活性な誘導体が含まれる。ステントベースの送達系に対するラパマイシンの非共有結合もまた重要である。非共有結合は、水素結合、ファンデルワールス力、または高度に粘稠性の表面内における単に受動的なエンタングルメント、またはこれらの何らかの組合せからなる可能性がある。制御された強結合には、アンジオスタチンに特異的な担体を適用することができ、当業者によく知られる将来的なリンカーおよび類縁のリンカーと同様、水分(in vivoにおいて時間依存的)、pH、浸透圧、またはとりわけ特定の抗原に対して感受性の切断可能なリンカーが含まれる。] [0077] GPIIb/IIIa阻害剤、例えば、RheoProを包含する、抗血小板剤の共有結合または非共有結合もまた重要である。] [0078] アポトーシスの誘導の場合、重要な作用物質には、デスドメイン、またはその相同体もしくはオルソログを含む哺乳動物細胞表面の受容体に結合し、このように結合することにより、該細胞に対してアポトーシスのシグナルを送達する化合物、通常はポリペプチド化合物である、デスドメイン受容体リガンドが含まれる。これらの受容体により誘発される細胞内タンパク質の相互反応は、TNF−R1のC末端近傍における約80アミノ酸のドメインに対して相同的なデスドメインの結合相互反応に起因する可能性があり、細胞傷害性のシグナル伝達の一因となる(Huangら、1996年)。TNF受容体のデスドメインファミリーには、TNF−R1、Fas(CD95)、TRAMP(wsl/Apo-3/DR-3)、TRAIL−R1(DR-4)、およびTRAIL−R2(DR-5、TRICK2、KILLER)が含まれる。デスドメインリガンドには、特定のデスドメイン受容体に対する結合により細胞の増殖および分化を制御するタンパク質が含まれる。これらのリガンドには、TNFファミリー、例えば、TNF、リンホトキシン、CD30リガンド、4−1 BBリガンド、CD40リガンド、CD27リガンド、およびTRAIL(TNF類縁のアポトーシス誘導リガンド)、ならびにこれらの相同体および類似体が含まれる。TNFの機能的な可溶性形態の他、ヒトFasLも、三量体として存在する。TNFファミリーメンバーであるリンホトキシンβは、膜上における1つの鎖(リンホトキシン−α、またはTNF−β)と2つのβ鎖(リンホトキシン−β)とによるヘテロ三量体からなる。] [0079] 抗再狭窄ポリペプチドおよび抗再狭窄ペプチドは、それらの天然形態で投与することもでき、本明細書に記載の対象分子をコードする発現ベクターの投与を介して投与することもできる。] [0080] ステントに薬剤の複合システムを保有させることができる。最初の数日間にわたり極めて急速に溶出させるために、抗凝血剤または抗血小板剤を、該デバイスの最も外側の表面内に組み入れることができる。新内膜の過剰成長がデバイスを取り囲んだ後で非血液細胞と接触する場合は、デバイスに抗炎症剤および抗複製剤を製剤化して、その後の溶出を持続させることができる。薬剤の溶出速度は均一である必要はなく、患者の必要に適合するように調整することができる。] [0081] 本発明のさらに別の実施形態では、本明細書に記載のmiR−143/miR−145アゴニストまたはmiR−486阻害剤を、ステント、バルーン、またはカテーテルなどの医療デバイス用のコーティングとして製剤化することもできる。対象における再狭窄を治療する方法において特に有用なmiR−143/miR−145アゴニストまたはmiR−486阻害剤は、金属製ステントにコーティングして、薬剤溶出ステントを作製するのに用いることができる。薬剤溶出ステントとは、狭窄または罹患する動脈の開口を保ち、化合物を放出して細胞の増殖および/または炎症を防止する足場である。miR−143/miR−145アゴニストまたはmiR−486阻害剤は、ある期間にわたりアゴニストまたは阻害剤を放出するため、薄いポリマー内に埋め込む形で金属製ステントに適用することができる。デバイスベースの送達方法およびデバイスをコーティングする方法は、薬剤溶出ステントおよび他の植え込み式デバイスと同様、当技術分野でよく知られている。例えば、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第7,294,329号、同第7,273,493号、同第7,247,313号、同第7,236,821号、同第7,232,573号、同第7,156,869号、同第7,144,422号、同第7,105,018号、同第7,087,263号、同第7,083,642号、同第7,055,237号、同第7,041,127号、同第6,716,242号、および同第6,589,286、ならびにWO2004/004602を参照されたい。したがって、本発明は、miR−143アゴニスト、miR−145アゴニスト、および/またはmiR−486阻害剤によりコーティングされたバルーン、カテーテル、またはステントなどの医療デバイスを包含する。一部の実施形態において、miR−143/miR−145アゴニストまたはmiR−486阻害剤は、本明細書に記載の他の抗再狭窄化合物と組み合わせて、薬剤溶出ステントに組み込むための製剤を作製するのに用いることができる。miR−143/miR−145アゴニストまたはmiR−486阻害剤と組み合わせて用いるのに適するさらなる化合物には、パクリタキセル、ラパマイシン(シロリムス)、タクロリムス、ゾタロリムス、エベロリムス、ドセタキセル、ピメクロリムス、およびこれらの誘導体が含まれるがこれらに限定されない。] [0082] 本発明はまた、病的な心肥大、心不全、または心筋梗塞の治療を必要とする対象における病的な心肥大、心不全、または心筋梗塞を治療する方法もまた包含する。一実施形態において、該方法は、miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストを対象に投与する工程を含む。miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストの投与は、対象における心肥大、心不全、または心筋梗塞の1つもしくは複数の症状の改善、あるいは心肥大から心不全への推移の遅延を結果としてもたらすことが好ましい。改善される1つまたは複数の症状は、例えば、運動能力の向上、心駆出量の増大、左室拡張終期圧の低下、肺毛細血管楔入圧の低下、心拍出量の増大、心臓指数の向上、肺動脈圧の低下、左室収縮終期径および左室拡張終期径の減少、左室壁応力および右室壁応力の低下、壁張力の低下、生活の質の向上、ならびに疾患に関連する罹患率および死亡率の低下でありうる。加えて、miR−486/miR−422aアゴニストの使用により、心肥大およびその関連症状の発生を防止することができる。一実施形態において、心筋梗塞を患う対象にmiR−486および/またはmiR−422aのアゴニストを投与すると、心臓細胞の喪失を低減することにより、梗塞のサイズを低減することができる。別の実施形態では、miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストの投与後に、心筋梗塞を患う対象における心機能が安定化する。] [0083] 一実施形態において、miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストは、成熟miR−486配列および/または成熟miR−422a配列を含むポリヌクレオチドでありうる。一部の実施形態において、該ポリヌクレオチドは、配列番号70、配列番号93、または配列番号94の配列を含む。別の実施形態において、miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストは、miR−486および/またはmiR−422aのプリmiRNA配列またはプレmiRNA配列を含むポリヌクレオチドでありうる。成熟miR−486配列および/または成熟miR−422a配列、プレmiR−486/プレmiR−422a配列、あるいはプリmiR−486/プリmiR−422a配列を含むポリヌクレオチドは、一本鎖の場合もあり、二本鎖の場合もある。該ポリヌクレオチドは、ロックト核酸、ペプチド核酸など、1つまたは複数の化学修飾、2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル、2’−O−メトキシエチル)修飾、2’−フルオロ修飾、および4’チオ修飾などの糖修飾、ならびに1つもしくは複数のホスホロチオエート結合、モルホリノ結合、またはホスホノカルボキシレート結合などの骨格修飾を含有しうる。一実施形態において、miR−486および/またはmiR−422aの配列を含むポリヌクレオチドは、コレステロールにコンジュゲートされる。別の実施形態において、miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストは、miR−486および/またはmiR−422aの機能を増大させるか、補完するか、または置換するように作用する、miR−486またはmiR−422aとは異なる作用物質でありうる。例えば、それらのいずれもがmiR−486の発現を上方制御するSRFまたはMRTFaは、miR−486のアゴニストでありうる。] [0084] 一部の実施形態において、miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストは、本明細書に記載のベクターからin vivoで発現させることができる。一実施形態において、miR−486および/またはmiR−422aを発現する発現ベクターは、miR−486および/またはmiR−422aをコードするポリヌクレオチドに作動的に連結されたプロモーターを含む。miR−143および/またはmiR−145をコードするポリヌクレオチドは、一次マイクロRNA−miR−486配列および/または一次マイクロRNA−miR−422a配列(プリmiR-miR-486/プリmiR-422a)、前駆体マイクロRNA−miR−486配列および/または前駆体マイクロRNA−miR−422a配列(プレmiR-miR-486/プレmiR-422a)、あるいは成熟miR−486配列および/または成熟miR−422a配列をコードしうる。別の実施形態において、発現ベクターは、配列番号70の配列を含む、プロモーターに作動的に連結されたポリヌクレオチドを含む。別の実施形態において、発現ベクターは、配列番号93の配列を含む、プロモーターに作動的に連結されたポリヌクレオチドを含む。さらに別の実施形態において、発現ベクターは、配列番号94の配列を含む、プロモーターに作動的に連結されたポリヌクレオチドを含む。] [0085] 本発明はまた、治療後において、miR−143、miR−145、miR−486、および/またはmiR−422aのアゴニストを除去するか、または消失させる方法も意図する。一実施形態において、該方法は、平滑筋特異的プロモーターを用いる、平滑筋細胞内におけるmiR−143および/またはmiR−145に対する結合部位領域の過剰発現を含む。別の実施形態において、該方法は、心筋特異的プロモーターを用いる、心筋細胞内におけるmiR−486および/またはmiR−422aに対する結合部位領域の過剰発現を含む。該結合部位領域は、miR−143、miR−145、miR−486、および/またはmiR−422aの塩基2〜8にわたるmiRNAの5’部分であるシード領域の配列を含有することが好ましい。一部の実施形態において、該結合部位は、Srgap1、Srgap2、Smad3、Sema3、Cited2、KLF5、およびMRTFbなど、miR−143および/またはmiR−145の1つもしくは複数の標的の3’UTRに由来する配列を含有しうる。他の実施形態において、該結合部位は、PTENおよびFoxo1aなど、miR−486の1つまたは複数の標的の3’UTRに由来する配列を含有しうる。別の実施形態において、miR−143、miR−145、miR−486、および/またはmiR−422aの阻害剤は、該マイクロRNAの機能を緩和するかまたは停止させるmiR−143、miR−145、miR−486、および/またはmiR−422aのアゴニストの後で投与することができる。別の実施形態において、本発明は、治療後においてmiR−486阻害剤を除去するかまたは消失させる方法を提供する。該方法は、miR−486阻害剤が投与された平滑筋細胞または他の組織内におけるmiR−486阻害剤に対する結合部位を過剰発現する工程を含みうる。] [0086] 本発明はまた、miR−143、miR−145、miR−486、および/またはmiR−422aのアゴニストならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物も包含する。別の実施形態において、該医薬組成物は、本明細書に記載のmiR−486阻害剤および薬学的に許容される担体を含む。臨床的な適用を意図する場合、医薬組成物は、意図される適用に適切な形態で調製される。一般に、これは、発熱物質のならびにヒトまたは動物に対して有害でありうる他の不純物を本質的に含まない組成物の調製を伴う。] [0087] 高分子複合体、ナノカプセル、マイクロスフェア、ビーズ、ならびに水中油エマルジョン、ミセル、混合ミセル、およびリポソームを包含する脂質ベースの系など、コロイド分散系を、本明細書に記載のマイクロRNA機能に対するアゴニストまたは阻害剤のための送達担体として用いることができる。心筋組織および平滑筋組織などの組織に対して本発明の核酸を送達するのに適する市販の脂質エマルジョンには、Intralipid(登録商標)、Liposyn(登録商標)、Liposyn(登録商標)II、Liposyn(登録商標)III、Nutrilipid、および他の類似の脂質エマルジョンが含まれる。in vivoにおける送達担体として用いるのに好ましいコロイド系は、リポソーム(すなわち、人工膜小胞体)である。このような系の調製および使用は、当技術分野でよく知られている。例示的な製剤はまた、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、US5,981,505;US6,217,900;US6,383,512;US5,783,565;US7,202,227;US6,379,965;US6,127,170;US5,837,533;US6,747,014;およびWO03/093449においても開示されている。] [0088] 一般に、送達担体を安定させ、標的細胞による取込みを可能とするのに適する塩および緩衝液を用いることが所望される。緩衝液はまた、組換え細胞が患者に導入される場合にも用いられる。本発明の水性組成物は、薬学的に許容される担体または水性媒体中において溶解または分散した有効量の送達担体を含む。「薬学的に許容される」または「薬理学的に許容される」という語句は、動物またはヒトに投与した場合に、有害反応、アレルギー性反応、または他の都合の悪い反応をもたらさない分子的実体および組成物を指す。本明細書で用いられる「薬学的に許容される担体」には、ヒトに対する投与に適する薬剤などの薬剤を製剤化するのに用いるのに許容される、溶媒、緩衝液、溶液、分散媒、コーティング、抗菌剤および抗真菌剤、等張剤および吸収遅延剤などが含まれる。薬学的活性物質のためのこのような媒体および作用物質の使用は、当技術分野でよく知られている。従来の媒体または作用物質は本発明の有効成分に適合しない場合を除いて、治療組成物における使用が意図される。それらが該組成物の核酸を不活化しない場合は、補完的な有効成分もまた組成物中に組み込むことができる。] [0089] 本発明の活性組成物は、従来の医薬調製物を包含する。本発明によるこれらの組成物の投与は、その経路を介して標的組織に達しうる限りにおいて、任意の一般的な経路を介しうる。これには、経口経路、鼻腔内経路、または口腔内経路が含まれる。あるいは、投与は、皮内注射、皮下注射、筋肉内注射、腹腔内注射、動脈内注射、または静脈内注射を介する場合もあり、心筋組織内への直接的な注射による場合もある。miRNAの阻害剤またはアゴニストを含む医薬組成物はまた、カテーテルシステムを介して投与することもでき、心臓への治療剤の送達のために冠動脈循環を分離するシステムを介して投与することもできる。当技術分野では、心臓および冠動脈血管系へと治療剤を送達するための各種のカテーテルシステムが知られている。本発明において用いるのに適する、カテーテルベースの送達方法または冠動脈分離方法の一部の非限定的な例は、参照によりそれらの全体において本明細書に組み込まれる、米国特許第6,416,510号;米国特許第6,716,196号;米国特許第6,953,466号;WO2005/082440;WO 2006/089340;米国特許公開第2007/0203445号;米国特許公開第2006/0148742号;および米国特許公開第2007/0060907号において開示されている。このような組成物ならば通常、前出に記載の通り、薬学的に許容される組成物として投与されるであろう。一実施形態において、本発明の医薬組成物は、該医薬組成物によりコーティングされたステントを介して投与することができる。この実施形態は、再狭窄および新生内膜形成の治療または阻害に特に有用である。] [0090] 活性化合物はまた、非経口投与も腹腔内投与も可能である。例示を目的として述べると、遊離塩基または薬理学的に許容される塩としての活性化合物の溶液は、ヒドロキシプロピルセルロースなどの界面活性剤と、適切に混合された水中において調製することができる。分散液はまた、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、およびこれらの混合物中、ならびに油中おいても調製することができる。保管および使用の通常の条件下において、これらの調製物は一般に、微生物の増殖を防止する防腐剤を含有する。] [0091] 注射用の使用またはカテーテル送達に適する医薬形態には、例えば、無菌の水溶液または分散液、および無菌の注射用溶液または注射用分散液を即時調製するための無菌粉末が含まれる。一般に、これらの調製物は無菌であり、容易な注射可能性が存在する程度において流体である。調製物は、製造条件および保管条件の下において安定であり、細菌および真菌など、微生物の汚染作用に対して保護されるべきである。適切な溶媒または分散媒は、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、および液体のポリエチレングリコールなど)、これらの適切な混合物、および植物油を含有しうる。適正な流動性は、例えば、レシチンなどのコーティングの使用により、分散液の場合は必要とされる粒子サイズの維持により、また界面活性剤の使用により維持することができる。微生物作用の防止は、各種の抗菌剤および抗真菌剤、例えば、パラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサールなどによりもたらすことができる。多くの場合、等張剤、例えば、糖または塩化ナトリウムを組み入れることが好ましいであろう。注射用組成物の長時間吸収は、組成物中における吸収を遅延させる作用物質、例えば、モノステアリン酸アルミニウムおよびゼラチンの使用によりもたらすことができる。] [0092] 無菌の注射用溶液は、所望の他の任意の成分(例えば、上記で列挙された)と共に、活性化合物を適切な量で溶媒内へと組み込んだ後で、濾過による滅菌を行うことにより調製することができる。一般に、分散液は、基本的な分散媒、また例えば、上記で列挙した通りの他の所望の成分を含有する無菌の媒体内へと、各種の無菌の有効成分を組み込むことにより調製することができる。無菌の注射用溶液を調製するための無菌粉末の場合、好ましい調製方法には、(1つまたは複数の)有効成分に、あらかじめ無菌で濾過されたそれらの溶液に由来する任意のさらなる所望の成分を添加した粉末をもたらす、真空乾燥法および凍結乾燥法が含まれる。] [0093] 本発明の組成物は一般に、中性または塩の形態で製剤化することができる。薬学的に許容される塩には、例えば、無機酸(例えば、塩酸またはリン酸)または有機酸(例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデリン酸など)に由来する酸添加塩(タンパク質の遊離アミノ基により形成される)が含まれる。タンパク質の遊離カルボキシル基により形成される塩はまた、無機塩基(例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム、または水酸化鉄)に由来する場合もあり、有機塩基(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ヒスチジン、プロカインなど)に由来する場合もある。] [0094] 製剤化されたら、溶液は、投与製剤に適合する形で、かつ治療的に有効であるような量で投与することが好ましい。製剤は、注射用溶液、薬剤放出カプセルなど、各種の形態において容易に投与することができる。水溶液中における非経口投与の場合、例えば一般には、溶液を適する形で緩衝し、例えば、まず十分な生理食塩水またはグルコースにより希釈液を等張とする。このような水溶液は、例えば、静脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、および腹腔内投与に用いることができる。特に、本開示に照らすと、当業者に知られる通り、無菌の水性媒体を用いることが好ましい。例示を目的として述べると、1回の用量は、等張NaCl溶液1ml中に溶解させてから、皮下注入液1000mlに添加することも、提起される注入部位に注射することもできる(例えば、「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第15版、1035〜1038および1570〜1580頁を参照されたい)。治療される対象の状態に応じて、用量には何らかの変化が必然的に生じる。投与責任者は、いずれにせよ、個々の対象に適切な用量を決定する。さらに、ヒトへの投与の場合、調製物は、FDAの生物学的製剤事務局基準により要請される無菌性、発熱物質性、一般的な安全性、および純度の基準を満たすものとする。] [0095] 本明細書に記載の任意の組成物は、キット内に含まれうる。非限定的な例では、miR−143、miR−145、miR−486、および/またはmiR−422aのアゴニストがキット内に包含される。キットは、miRNA二本鎖のハイブリダイゼーションを促進する水およびハイブリダイゼーション緩衝液をさらに包含しうる。キットはまた、細胞へのポリヌクレオチドアゴニストの送達を促進する1つまたは複数のトランスフェクション試薬も包含しうる。] [0096] キットの成分は、水性媒体中にパッケージングすることもでき、凍結乾燥形態でパッケージングすることもできる。キットの容器手段には一般に、その中に成分を入れ、好ましくは、適する形で分注することが可能である、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、または他の容器手段が含まれる。キット内に複数の成分が存在する場合(標識試薬および標識は、共にパッケージングすることができる)、キットはまた一般に、その中にさらなる成分を個別に入れることが可能な第2、第3、または他のさらなる容器も含有する。しかし、成分の各種の組合せは、バイアル内に含めることができる。本発明のキットはまた、販売用に、核酸を含有するための手段、および他の任意の試薬のための気密容器も包含することが典型的である。このような容器には、その中に所望のバイアルが保持される、射出成形またはブロー成形されたプラスチック容器が含まれうる。] [0097] キットの成分が1つおよび/または複数の溶液中において提供される場合、該溶液は水溶液であり、無菌の水溶液が特に好ましい。しかし、キットの成分は、(1つまたは複数の)乾燥粉末として提供することができる。試薬および/または成分が乾燥粉末として提供される場合、該粉末は、適する溶媒の添加により再構成することができる。溶媒はまた、別の容器手段内において提供しうることが想定される。] [0098] 容器手段には一般に、その中に核酸製剤を入れ、好ましくは、適切に配分する、少なくとも1つのバイアル、試験管、フラスコ、ボトル、シリンジ、および/または他の容器手段が含まれる。キットはまた、無菌の薬学的に許容される緩衝液および/または他の希釈液を含有するための第2の容器手段も含みうる。] [0099] このようなキットはまた、miRNA/ポリヌクレオチドを保存もしくは維持するか、またはそれらの分解に対して保護的である成分も包含する。このようなキットは一般に、適する手段において、各個別の試薬または溶液ごとに異なる容器を含む。] [0100] キットはまた、キット成分を用いる他、該キット内に包含されない他の任意の試薬を用いるための指示書も包含する。指示書は、実装の可能性がある変更も包含しうる。キットはまた、非経口投与もしくはカテーテルによる投与、またはコーティングされたステントなど、各種の投与経路によりmiRNAのアゴニストまたは阻害剤を投与するための器具またはデバイスも包含する。] [0101] 本発明は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質を同定する方法をさらに含む。miR−143および/またはmiR−145の機能に対する、同定されたアゴニストは、再狭窄もしくは新生内膜形成の予防もしくは治療または平滑筋細胞増殖の阻害に有用である。miR−486および/またはmiR−422aの機能に対する、同定されたアゴニストは、心肥大、心不全、または心筋梗塞の予防または治療または可逆化に有用である。miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質(例えば、アゴニスト)は、本発明の方法による再狭窄または心障害を治療するための医薬組成物に組み入れることができる。] [0102] これらのアッセイは、候補物質の大規模なライブラリーに対する無作為的なスクリーニングを含む場合もあり、あるいは、該アッセイは、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の発現および/または機能を促進する可能性をより高めると考えられる構造的な属性に注目して選択される特定クラスの化合物に対して焦点を絞るのに用いる場合もある。] [0103] miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質を同定するため、一般には、候補化合物の存在下および不在下において、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の発現または活性を決定する。例えば、方法は一般に: (a)候補化合物を提供する工程と、 (b)該候補化合物を、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486を発現する細胞と混合する工程と、 (c)miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の発現または活性を測定する工程と、 (d)工程(c)における発現または活性を、該候補化合物の不在下における活性と比較する工程と を含み、ここで、測定された発現または活性間の差異により、該候補化合物が、実際に、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質であることが示される。アッセイは、単離された組織において実施することもでき、単離された臓器において実施することもでき、生物において実施することもできる。] [0104] miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性または発現を評価する工程は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の発現レベルを評価する工程を含みうる。当業者は、例えば、ノーザンブロット法またはRT−PCRを包含する、RNA発現レベルを評価する各種の方法に精通しているであろう。miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性または発現を評価する工程は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性を評価する工程を含みうる。一部の実施形態において、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性を評価する工程は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486によって調節される遺伝子の発現または活性を評価する工程を含む。miR−143および/またはmiR−145によって調節される遺伝子には、例えば、Slit−RoboGTPアーゼ活性化タンパク質1、Slit−Robo GTPアーゼ活性化タンパク質2、Smad3、Sema3、Cited2、KLF5、またはMRTFbが含まれる。miR−486によって調節される遺伝子には、例えば、PTENおよびFoxo1aが含まれる。当業者は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性または発現を評価する各種の方法に精通しているであろう。このような方法には、例えば、ノーザンブロット法、RT−PCR、ELISA、またはウェスタンブロット法が含まれる。] [0105] 本発明のすべてのスクリーニング方法は、有効な候補物質を見出し得ない場合であっても、それ自体において有用であることが当然ながら理解される。本発明は、このような候補物質をスクリーニングする方法を提供するのであり、これらを見出す方法だけを提供するわけではない。] [0106] 本明細書で用いられる場合、「候補化合物」という用語は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の発現または増殖制御の側面を潜在的に調節しうる任意の分子を指す。有用な化合物の同定を「総当たりで行う」試みにおいて、有用な薬剤の基本的な基準を満たすと考えられる分子ライブラリーは、各種の販売元から購入することが典型的であろう。組合せにより生成されるライブラリーを包含する、このようなライブラリーのスクリーニングは、活性について類縁の(および非類縁の)多数の化合物をスクリーニングするための迅速で効果的な方法である。組合せ法はまた、活性ではあるがその他の点では望ましくない化合物に対してモデル化される、第2世代、第3世代、および第4世代の化合物の創出を介して、潜在的な薬剤の迅速な発展にも役立つ。本発明の方法によりスクリーニングされうる候補化合物の非限定的な例は、タンパク質、ペプチド、ポリペプチド、ポリヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、または低分子である。miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質はまた、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486のいずれか1つの上流制御因子に対するアゴニストまたは阻害剤でもありうる。] [0107] 実施が迅速、廉価、かつ容易なアッセイは、in vitroアッセイである。このようなアッセイでは一般に単離分子が用いられ、迅速かつ多数での実施が可能であり、これにより、短時間で得られる情報量が増大する。試験管、プレート、ディッシュ、およびディップスティックまたはビーズなどの他の表面を包含する各種の容器を用いてアッセイを実行することができる。] [0108] 化合物のハイスループットスクリーニングのための技法は、WO84/03564において説明されている。プラスチックピンまたは他の一部の表面などの固体基質上では、多数の低分子化合物を合成することができる。このような分子は、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486を誘導するそれらの能力について、迅速にスクリーニングすることができる。] [0109] 本発明はまた、細胞においてmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性ならびに発現を調節するそれらの能力について化合物をスクリーニングすることも意図する。この目的のために特別に改変された細胞を包含する、血管の平滑筋細胞に由来する細胞株を包含する各種の細胞株を、このようなスクリーニングアッセイに用いることができる。] [0110] in vivoにおけるアッセイは、特別な欠損を有するように改変されたか、または生物内における異なる細胞に到達してこれらに影響を与える候補物質の能力を測定するのに用いうるマーカーを保有するトランスジェニック動物を包含する、再狭窄の各種動物モデルの使用を伴う。それらのサイズ、操作の容易さ、ならびにそれらの生理学的性質および遺伝学的構成に関する情報により、マウスが、とりわけトランスジェニック動物に好ましい実施形態である。しかし、ラット、ウサギ、ハムスター、モルモット、アレチネズミ、ウッドチャック、ネコ、イヌ、ヒツジ、ヤギ、ブタ、ウシ、ウマ、およびサル(チンパンジー、テナガザル、およびヒヒを包含する)を包含する他の動物も同様に適する。阻害剤についてのアッセイは、これらの動物種のいずれかに由来する動物モデルを用いて実施することができる。] [0111] 試験化合物による動物の治療は、該動物に対する適切な形態での該化合物の投与を伴う。投与は、臨床的目的に用いうる任意の経路を介して行われる。in vivoにおける化合物の有効性の判定には、血管平滑筋細胞の増殖の変化が含まれるがこれに限定されない各種の異なる基準を伴いうる。] [0112] 本発明は、細胞におけるSlit−RoboGTPアーゼ活性化タンパク質1、Slit−Robo GTPアーゼ活性化タンパク質2、Smad3、Sema3、Cited2、KLF5、またはMRTFbの発現を制御する方法であって、該細胞をmiR−143および/またはmiR−145の調節物質と接触させる工程を含む方法を包含する。一実施形態において、Slit−Robo GTPアーゼ活性化タンパク質1、Slit−Robo GTPアーゼ活性化タンパク質2、Smad3、Sema3、Cited2、KLF5、またはMRTFbの発現は、miR−143および/またはmiR−145のアゴニストの投与後において細胞中で低下する。別の実施形態において、Slit−Robo GTPアーゼ活性化タンパク質2、Smad3、Sema3、Cited2、KLF5、またはMRTFbの発現は、miR−143および/またはmiR−145の阻害剤の投与後において細胞中で増加する。] [0113] 本発明は、再狭窄の治療または予防のために、対象におけるSlit−RoboGTPアーゼ活性化タンパク質1、Slit−Robo GTPアーゼ活性化タンパク質2、Smad3、Sema3、Cited2、KLF5、もしくはMRTFbの発現または活性を調節する方法を包含する。適する調節物質には、本明細書に記載のmiRアゴニストの他、低分子、ペプチド、タンパク質、および阻害性核酸(例えば、リボザイム、siRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチド)が含まれる。] [0114] 別の実施形態において、本発明は、細胞におけるPTENまたはFoxo1aの発現を制御する方法であって、該細胞をmiR−486の調節物質と接触させる工程を含む方法を提供する。一実施形態においてPTENまたはFoxo1aの発現は、miR−486のアゴニストの投与後において細胞中で低下する。別の実施形態において、PTENまたはFoxo1aの発現は、miR−486阻害剤の投与後において細胞中で増加する。本発明はまた、心肥大、心不全、または心筋梗塞の治療または予防のために、対象におけるPTENもしくはFoxo1aの発現または活性を調節する方法も包含する。] [0115] さらに別の実施形態において、本発明は、細胞におけるAktシグナル伝達を制御する方法であって、該細胞をmiR−486の調節物質と接触させる工程を含む方法を提供する。一実施形態において、細胞内におけるAktシグナル伝達は、miR−486のアゴニストの投与後において増強される。別の実施形態において、細胞におけるAktシグナル伝達は、miR−486阻害剤の投与後において抑制される。] [0116] 本発明の具体的な実施形態は、機能的なmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の対立遺伝子の一方または両方を欠くトランスジェニック動物を提供する。また、誘導的プロモーター、組織選択的プロモーターまたは構成的プロモーター、このような動物に由来する組換え細胞株、およびトランスジェニック胚の制御下においてmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486を発現するトランスジェニック動物も、これらのmiRが、平滑筋細胞の分化および増殖の制御において、したがって、再狭窄および新生内膜形成において果たす正確な役割を決定するのに有用でありうる。miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486をコードする誘導的または抑制的な核酸を用いることにより、過剰発現または非制御発現のモデルがもたらされる。また、一方または両方の対立遺伝子において、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486について「ノックアウト」したトランスジェニック動物も意図される。また、一方または両方のクラスターの一方または両方の対立遺伝子において、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486について「ノックアウト」したトランスジェニック動物も意図される。] [0117] 一般的な態様において、トランスジェニック動物は、導入遺伝子の発現を可能とする形で、ゲノム内に所与の導入遺伝子を組み込むことによって作製される。トランスジェニック動物を作製する方法は、WagnerおよびHoppe(米国特許第4,873,191号;参照により本明細書に組み込まれる)およびBrinsterら(1985年;参照により本明細書に組み込まれる)により一般的に説明されている。] [0118] ゲノム配列に挟まれる遺伝子は、マイクロインジェクションにより受精卵内に導入されることが典型的である。マイクロインジェクトされた卵は、宿主の雌に植え込み、後代を導入遺伝子の発現についてスクリーニングする。トランスジェニック動物は、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類、および魚類が含まれるがこれらに限定されない多数の動物に由来する受精卵から作製することができる。] [0119] マイクロインジェクション用のDNAクローンは、当技術分野で知られる任意の手段により調製することができる。例えば、マイクロインジェクション用のDNAクローンは、細菌プラスミド配列を除去するのに適切な酵素により切断することができ、該DNAフラグメントは、標準的な技法を用いて、TBE緩衝液中に1%のアガロースゲル上において電気泳動させることができる。DNAバンドは、臭化エチジウムを用いる染色により可視化され、発現配列を含有するバンドが切り出される。次いで、切り出されたバンドを0.3M酢酸ナトリウム、pH7.0を含有する透析バッグ内に入れる。DNAを透析バッグ内へと電気溶解させ、1:1のフェノール:クロロホルム溶液により抽出し、2倍容量のエタノールにより沈殿させる。該DNAを、低濃度の塩緩衝液(0.2M NaCl、20mMトリス、pH7.4、および1mMEDTA)1ml中で再溶解させ、Elutip−D(商標)カラム上で精製する。まず、該カラムを高濃度の塩緩衝液(1M NaCl、20mMトリス、pH7.4、および1mM EDTA)3mlによりプライムした後、低濃度の塩緩衝液5mlにより洗浄する。DNA溶液をカラム内に3回通液して、DNAをカラムマトリックスに結合させる。低濃度の塩緩衝液3mlによる1回の洗浄後、高濃度の塩緩衝液0.4mlによりDNAを溶出させ、2倍容量のエタノールによりこれを沈殿させる。UV分光光度計における260nmの吸収により、DNA濃度を測定する。マイクロインジェクションの場合は、DNA濃度を5mMトリス、pH7.4および0.1mM EDTA中3μg/mlに調整する。マイクロインジェクション用のDNAを精製する他の方法は、Palmiterら(1982年);およびSambrookら(2001年)において説明されている。] [0120] 例示的なマイクロインジェクション手順では、妊娠した雌馬の血清ゴナドトロピン(PMSG;Sigma社製)5IUの注射(0.1cc;腹腔内)により、6週齢の雌マウスを誘導して過剰排卵させた48時間後に、ヒト絨毛ゴナドトロピン(hCG;Sigma社製)5IUの注射(1mg/ml;腹腔内)を行った。hCG注射の直後に、雌を雄に伴わせた。hCG注射の21時間後において、交尾した雌をCO2窒息または頸椎脱臼により屠殺し、切除した卵管から胚を回収し、0.5%ウシ血清アルブミン(BSA;Sigma社製)を伴うダルベッコリン酸緩衝生理食塩水中に入れた。ヒアルロニダーゼ(1mg/ml)により、周囲の卵丘細胞を除去する。次いで、前核胚を洗浄し、注射時まで、5%のCO2、95%の空気による加湿周囲大気を伴う37.5℃のインキュベータ内において0.5%BSA(EBSS)を含有するアールのバランス塩溶液中に入れた。胚は、2細胞段階で植え込むことができる。] [0121] 月経のある成体雌マウスを、精管切除した雄と無作為につがいにする。この目的には、C57BL/6マウスもしくはスイスマウスまたは他の同等な系統を用いることができる。レシピエントの雌を、ドナーの雌と同時に交尾させる。胚導入時には、体重グラム当たりの2.5%アベルチン0.015mlの腹腔内注射により、レシピエントの雌に麻酔をかける。単回の背部正中線切開により、卵管を露出させる。次いで、卵管の真上において体壁を貫通する切開を行う。次いで、時計技師用のピンセットにより卵嚢を引き出す。導入される胚をDPBS(ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水)中に入れ、導入用ピペットチップに入れる(胚約10〜12個)。ピペットチップを漏斗内に挿入し、胚を導入する。導入後、2針の縫合により切開部を閉鎖する。] [0122] 本発明の各態様をさらに例示する目的で以下の実施例を組み入れる。後続の実施例において開示される技法は、本発明の実施において良好に機能することが本発明者により発見された技法および/または組成物を表し、したがって、その実施に好ましい様式を構成すると考えうることが当業者によって理解されるはずである。しかし、当業者は、開示される具体的な実施形態において、多数の変更を行うことができ、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果がなおも得られることを、本開示に照らして理解されたい。] [0123] (実施例1)平滑筋細胞においてはmiR−143およびmiR−145が豊富である 平滑筋において豊富なマイクロRNAを同定するため、マイクロアレイ解析を実施して、平滑筋に富む大動脈組織に由来するマイクロRNAを、心筋および骨格筋の場合と比較した。miR−143/145のマイクロRNAクラスターは、心筋および骨格筋の場合と比較して、大動脈において高度に発現していることが同定された(図1A)。平滑筋に富む組織におけるmiR−143/145の発現は、ノーザンブロットによりさらに確認された。miR−143/145は、大動脈、胃、肺、および膀胱において高度に発現していた。これらの2つのマイクロRNAはまた、より低度ではあるが、心臓および骨格筋においても発現していた(図1B)。加えて、ラット大動脈血管平滑筋細胞(RVSMC)におけるmiR−143およびmiR−145についてのノーザンブロット解析は、平滑筋の分化時においてこれら2つのmiRNAの発現が増大することを示し(図2)、これにより、この過程におけるmiR−143/145の潜在的な役割が示唆される。] 図1A 図1B 図2 [0124] miR−143/145の転写制御をより十分に理解するため、本発明者らは、miR−143/145の上流にある5kbの制御領域をlacZレポーターベクター内へとクローニングし、該制御領域の各種切断物を作製して、プロモーター活性をマッピングした(図3)。miR−143/145の制御領域は、保存的血清応答因子(SRF)結合部位(CArG)を含有する。異なる7つの動物種に対する保存的CArG部位(下線を付す)を含む制御領域の配列を以下: に示す。] 図3 [0125] miR−143/145遺伝子座の上流にある1.5kbの領域(図3中のコンストラクトF)を保有するトランスジェニック胚は、E7.5までの心臓半月弁において、lacZレポーター遺伝子の発現を示した(図4A)。E8.0およびE8.5には、心臓および発生中の背部大動脈の全体において、lacZレポーター遺伝子の発現が観察された。E10.75までには、発生中の血管および心臓の全体においてβGal活性が検出された。成体の場合、βGal発現は、心筋組織および平滑筋組織において観察された(図4B)。大動脈、膀胱、および肺血管、ならびに骨格筋において、しっかりとした発現が観察された。lacZレポーターコンストラクト内における保存的CArGボックス(配列番号8)の突然変異により心臓における発現が消失し、血管における発現が低下した(図4C)。これらのデータは、心筋転写因子および平滑筋転写因子を包含するSRFおよびその補因子が、in vivoの心血管系におけるmiR−143/145の発現制御において重要な役割を果たすことを示唆する。] 図3 図4A 図4B 図4C [0126] 具体的な方法 RNAの精製、マイクロアレイ解析、およびリアルタイムPCR:Trizol(Invitrogen社製)を用いて、マウスの組織および培養した心筋細胞から全RNAを精製した。哺乳動物マイクロRNAプローブセット(LC Sciences社製)を用いて、マイクロアレイ解析を実施した。TaqManマイクロRNAリアルタイムプローブ(Applied Biosystems社製)を用いて、マイクロRNAレベルを決定した。] [0127] ノーザンブロット:全RNA 10μgを20%の変性型ポリアクリルアミドゲル上に添加し、ZetaprobeGT膜(Bio-Rad社製)へと転写し、UV照射により架橋し、85℃でベーキングした。miR−143またはmiR−145の成熟配列に対する32Pで標識されたアンチセンスSTARFIREプローブ(Integrated DNA Technologies社製)により、39℃で一晩にわたりブロットをハイブリダイズした。U6 RNAレベルを、添加物対照として用いた。] [0128] プロモーターコンストラクトおよびトランスジェニックマウス:MiR−143/145の5’側上流領域の各種の部分をPCRにより単離し、hsp68最小プロモーター駆動lacZ遺伝子の上流においてクローニングした。既に報告されている通り(Chengら、1992年)、hsp68−lacZレポーターコンストラクトに融合させたmiR−143/145制御DNAの各種のフラグメントを保有するトランスジェニックマウスを作製した。] [0129] (実施例2)ミオカルジンはSRFを介してmiR−143およびmiR−145の制御領域を活性化させる 分子レベルにおけるmiR−143/145の制御を検証するため、本発明者らは、miR−143/145の上流にある5kbの領域の切断物からなる一連のルシフェラーゼコンストラクト(図3を参照されたい)を作製し、COS細胞内のミオカルジンに対するmiR−143/145制御DNAの応答性を決定した(図5A)。トランスフェクトされたCOS細胞における突然変異解析により示される通り、ミオカルジンによる、1.5kbのmiR−143/145ルシフェラーゼレポーター(コンストラクトF)の活性化は、保存的CArGボックスだけに完全に依存する。新生仔の心筋細胞内における、コンストラクトFに由来するルシフェラーゼレポーター遺伝子の発現により、ミオカルジンの過剰発現時における強力な応答性および活性の増大が示された(図5B)。図5Bにおけるルシフェラーゼ発現の除去により示される通り、心筋細胞内におけるmiR−143/145ルシフェラーゼレポーターのミオカルジンに対する応答性は、保存的CArGボックスだけに完全に依存する。血清応答因子(SRF)が、miR−143/145制御領域内における保存的CArG配列に結合しうるかどうかを決定するため、本発明者らは、ゲルシフトアッセイを実施した。図6において示される通り、SRFは野生型のCArG配列に結合した。しかし、突然変異体のCArGプローブはSRFに結合せず、コールドな野生型オリゴが、該プローブに対するSRFの結合について有効に競合した。これらの結果は、miR−143/145の発現が、保存的CArG配列とのSRFの相互作用を介して、SRFにより制御されることを示唆する。] 図3 図5A 図5B 図6 [0130] 具体的な方法 細胞培養およびルシフェラーゼアッセイ:Fugene6.0(Roche社製)を用いて、COS細胞にトランスフェクトした。miR−143/145の上流にある5’側領域の各種の部分をPCRにより単離し、E1b最小プロモーター駆動ルシフェラーゼ遺伝子の上流においてクローニングした。miR−143/145プロモーター解析の場合、各種のmiR−143/145ルシフェラーゼレポーターコンストラクトに、ミオカルジン50ng、100ng、または200ngをトランスフェクトした。エンプティなpcDNA3.1を用いて、全DNAを一定に保った。] [0131] ゲル移動性シフトアッセイ:大部分は既に説明される通り(McFaddenら、2000年)に、EMSAを実施した。示される通り、各結合反応は、エピトープでタグ付けされたタンパク質を過剰発現するCOS細胞からの細胞抽出物3μlからなった。抽出物の容量は、エンプティなpcDNA3.1をトランスフェクトした溶解物により一定に保たれた。保存的CArGに対応するオリゴ: トップ鎖:5'ggGCCTTGCCATATAAGGGCAGGA3'(配列番号9) ボトム鎖:5'ggTCCTGCCCTTATATGGCAAGGC3'(配列番号10) をアニーリングして用いた(CArGボックス配列に下線を付す)。既に説明されている通りにオリゴヌクレオチドをアニーリングしてクレノウ標識し、0.5倍濃度のTBE中に6%の非変性型ポリアクリルアミドゲル上において、DNA−タンパク質複合体を分解した。オリゴは、コールドな競合を目的としてデザインされたものであり、突然変異したヌクレオチドを小文字で示す。] [0132] (実施例3)平滑筋の傷害後にはmiR−143およびmiR−145が下方制御される 平滑筋の傷害後において発現を変化させたマイクロRNAを同定するため、頸動脈結紮により誘導される平滑筋傷害後における動脈組織に対して、マイクロRNAのマイクロアレイ解析を実施した。miR−143、miR−145、およびmiR−486のすべてが、結紮されない対照動脈と比較して、傷害を受けた頸動脈において顕著に下方制御された(図7A)。該マイクロアレイの結果は、リアルタイムのRT−PCR解析により検証された。miR−143およびmiR−145の発現レベルは、傷害を受けた頸動脈において、それぞれ、約85%および92%低下した(図7B)。miR−486の発現レベルは、約75%低下した(図7B)。miR−21およびmiR−126の発現を対照として用いた。] 図7A 図7B [0133] 血管傷害におけるmiR−143およびmiR−145の潜在的な役割を検証するため、2日連続でマウスに、miR−143模倣剤、miR−145模倣剤、または生理食塩水を125mg/kgずつ尾静脈を介して注射した。指定されたmiRNAの模倣剤は、成熟miR−143配列または成熟miR−145配列を含む、コレステロールにコンジュゲートされた二本鎖RNA分子であった。2回目の注射の1日後に、各マウスの左側頸動脈を結紮した(図8A)。結紮の28日後において、各動物から心臓、頸動脈、肺、肝臓、および腎臓の組織試料を回収した。2回目の注射の2日後に回収された組織に対するノーザンブロット解析により、miR−143またはmiR−145の模倣剤の投与の結果、心臓、腎臓、肝臓、および肺におけるこれら2つのmiRが過剰発現したことが示され、これは、これらの組織に対する有効な送達を裏付ける(図8B)。図8Cにおいて示される通り、結紮の28日後における頸動脈に対する組織学的検証により、生理食塩水を注射された対照マウスが、検証されたすべてのレベル(結紮下のレベルI(1.5mm)およびレベルII(1.9mm)において代表的な切片を採取した)において、重度の新生内膜形成を発症することが示された。miR−143模倣剤を注射されたマウスは、結紮下の対応するレベルにおいて、新生内膜形成の顕著な軽減を示した。これらの知見により、2つのmiR模倣剤を投与することによるmiR−143およびmiR−145の上方制御は、血管傷害後における新生内膜形成を軽減しうることが裏付けられる。] 図8A 図8B 図8C [0134] (実施例4)miR−145はSlit−RoboGTPアーゼ活性化タンパク質1および2、Smad3、Sema3、ならびにCited2を標的とする miR−143およびmiR−145の予測される標的を、TargetScan5.0上で同定した。潜在的な標的の3’UTRを、CMV駆動ルシフェラーゼレポーター内へとクローニングし、COS細胞内において、miR−143またはmiR−145と共トランスフェクトした。miR−145は、Slit−Robo GTPアーゼ活性化タンパク質1(Srgap1;図9A)、Srgap2(図9B)、Smad3(図9C)、Sema3(図9D)、およびCited2(図9E)の3’UTRを抑制した。miR−143の発現は、これらの標的の3’UTRを含有するコンストラクトからのルシフェラーゼの発現に対してほとんど影響を及ぼさなかった。miR−145はまた、KLF5の3’UTR(図9F)も標的とすることが予測され、miR−143(図9G)およびmiR−145(図9H)のいずれも、MRTFbの3’UTRを標的とすることが予測される。] 図9A 図9B [0135] (実施例5)MRTFaは心筋細胞におけるmiR−486の発現を誘導する 心血管の発生または疾患において役割を果たしうるさらなるマイクロRNAを同定するため、本発明者らは、平滑筋および心臓において豊富な転写因子である、ミオカルジンおよびMRTFaにより誘導されるmiRNAを選択するようにデザインされたマイクロRNAのマイクロアレイ解析を行った。βgal(対照)、MRTFa、またはミオカルジンの発現を誘導するアデノウイルスを、心筋細胞に感染させた。前述の結果と符合して、miR−143/145クラスターは、MRTFaを過剰発現する心筋細胞において上方制御された。加えて、MRTFaの過剰発現時において顕著に増加するものとして、miR−486が、miRNAマイクロアレイにより同定された(図10A)。MRTFaによるmiR−486の誘導は、ノーザンブロットによって独立に検証された(図10B)。miR−486は、筋特異的な発現を誘導する代替のプロモーターを含有する、Ank1遺伝子の最後のイントロン内に位置する。ステムループ構造および成熟マイクロRNAを図10Cに示す。定量的リアルタイムPCR解析は、アデノウイルスを介するMRTFaの発現の1日後における新生仔の心筋細胞内において、miR−486(図10D)およびAnk1(図10E)の顕著な誘導を示した。これらのデータは、miR−486がAnk1遺伝子により転写され、イントロンmiRNAとしてプロセシングされることを示唆する。] [0136] 成体におけるmiR−486の組織分布を決定するため、複数の組織に対してノーザンブロット解析を実施した(図11A)。miR−486の発現は、心筋含有組織、骨格筋含有組織、および平滑筋含有組織において濃密である。胚発生時におけるmiR−486の宿主遺伝子であるsAnk1の発現の検証により、E11.5の中胚葉節、および発生中の骨格筋前駆細胞、舌、横隔膜における発現が示されたが、心房および肝臓における発現は弱かった(図11B)。発現は、E17.5の心房において特に強く、P1までの心房において増加する。導電系のHisバンドル分枝でもまた、限定的な発現が観察される。P5までに、心室におけるAnk1の発現が観察され、成体期には心房および心室のいずれにおいても発現が強い。異なる胚段階における心臓に対する半定量的RT−PCR解析により、in situハイブリダイゼーションデータが確認された(図11C)。加えて、分化するC2C12細胞におけるmiR−486の発現増加により裏付けられる通り、miR−486発現は、骨格筋の分化と相関する(図11D)。] 図11A 図11B 図11C 図11D [0137] miR−486発現の制御をさらに探索するため、MRTFaまたはミオカルジンを発現するコンストラクトの濃度を上昇させて、これを心筋細胞にトランスフェクトした。miR−486およびAnk1の発現は、MRTFaにより特異的に誘導される(図12A)。しかし、ミオカルジンは、miR−486またはAnk1を誘導するのに不十分である。sAnk1遺伝子の制御領域は、CArG部位、Nkx部位、GATA部位、およびEboxを包含する、複数の推定転写因子結合部位を含有する(図12B)。miR−486の転写制御をより十分に理解するため、本発明者らは、miR−486の上流にある1080bpの制御領域をlacZレポーターベクター内へとクローニングした。miR−486の遺伝子座の上流にある1080bpの領域(1080bpAnklhsp681acZ)を保有するトランスジェニック胚は、骨格筋に特異的なβgal活性を示した(図12C)。E9.5において中胚葉節の染色が観察され、E11.5およびE13.5においては中胚葉節および発生中の骨格筋の染色が観察される。] [0138] 分子レベルにおけるmiR−486の制御を検証するため、本発明者らは、miR−486の上流にある1080bpの領域または650bpのイントロン1領域からなるルシフェラーゼコンストラクトを作製し(図12Bを参照されたい)、COS細胞におけるMyoD、Nkx2−5、GATA−4、ミオカルジン、またはMRTFaに対するmiR−486制御DNAの応答性を決定した(図12D〜E)。発現プラスミド50ng、100ng、および200ngを、ルシフェラーゼレポーターコンストラクトと共トランスフェクトした。sAnk1配列の上流にある1080bpの制御領域は、COS細胞内のMyoD、Nkx2−5、およびGATA−4により活性化されるが、ミオカルジンまたはMRTFaによっては活性化されない(図12D)。650bpのsAnk1イントロン1領域は、一過性にトランスフェクトされたCOS細胞内のMRTFaによっては特異的に活性化されるが、同ミオカルジンまたはMRTFbによっては活性化されない(図12E)。10MOIのβgal、ミオカルジン、MRTFa、またはNkx2−5によるアデノウイルスを形質導入した各種のルシフェラーゼレポーターをトランスフェクトした心筋細胞においても同様の結果が観察された(図12F)。sAnk1イントロン−lucは、心筋細胞におけるMRTFaに対して応答性であった。miR−486発現の制御をさらに解明するため、sAnk1イントロン−ルシフェラーゼレポーターコンストラクトに対する突然変異解析を実施し、MRTFa濃度の増加に応答するルシフェラーゼ発現をCOS細胞において測定した(図12G)。遠位CArG2部位に対する3’側の切断または突然変異の結果、ルシフェラーゼ発現が失われた。] [0139] 具体的な方法 RNAの精製、マイクロアレイ解析、およびリアルタイムPCR:Trizol(Invitrogen社製)を用いて、マウスの組織および培養した心筋細胞から全RNAを精製した。哺乳動物マイクロRNAプローブセット(LC Sciences社製)を用いて、マイクロアレイ解析を実施した。TaqManマイクロRNAリアルタイムプローブ(Applied Biosystems社製)を用いて、マイクロRNAレベルを決定した。]
权利要求:
請求項1 平滑筋細胞の増殖を阻害する方法であって、平滑筋細胞をmiR−486阻害剤ならびに/あるいはmiR−143および/またはmiR−145のアゴニストと接触させる工程を含む方法。 請求項2 前記アゴニストが、miR−143および/またはmiR−145の成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項1に記載の方法。 請求項3 前記アゴニストが、配列番号38および/または配列番号51の配列を含むポリヌクレオチドである、請求項2に記載の方法。 請求項4 前記アゴニストが、脂質送達媒体中に製剤化される、請求項2に記載の方法。 請求項5 前記アゴニストが、発現ベクターによりコードされる、請求項2に記載の方法。 請求項6 前記miR−486阻害剤が、アンタゴmir、アンチセンスオリゴヌクレオチド、または阻害性RNA分子である、請求項1に記載の方法。 請求項7 前記アンタゴmirまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−486の成熟配列に対して相補的な配列を含む、請求項6に記載の方法。 請求項8 前記アンタゴmirまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号70に対して相補的な配列を含む、請求項7に記載の方法。 請求項9 阻害性RNA分子が二本鎖領域を含み、ここで二本鎖領域がmiR−486の成熟配列に対して実質的に同一であり、実質的に相補的な配列を含む、請求項6に記載の方法。 請求項10 二本鎖領域が配列番号70に対して実質的に同一であり、実質的に相補的な配列を含む、請求項9に記載の方法。 請求項11 前記平滑筋細胞がヒト平滑筋細胞である、請求項1に記載の方法。 請求項12 再狭窄または新生内膜形成の阻害を必要とする対象における再狭窄または新生内膜形成を阻害する方法であって、miR−486阻害剤および/またはmiR−143もしくはmiR−145のアゴニストを前記対象に投与する工程を含む方法。 請求項13 前記アゴニストが、miR−143および/またはmiR−145の成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項12に記載の方法。 請求項14 前記アゴニストが、配列番号38および/または配列番号51の配列を含むポリヌクレオチドである、請求項13に記載の方法。 請求項15 前記アゴニストが、脂質送達媒体中に製剤化される、請求項13に記載の方法。 請求項16 前記アゴニストが、発現ベクターによりコードされる、請求項13に記載の方法。 請求項17 前記miR−486阻害剤が、アンタゴmir、アンチセンスオリゴヌクレオチド、または阻害性RNA分子である、請求項12に記載の方法。 請求項18 前記アンタゴmirまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドが、miR−486の成熟配列に対して相補的な配列を含む、請求項17に記載の方法。 請求項19 前記アンタゴmirまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドが、配列番号70に対して相補的な配列を含む、請求項18に記載の方法。 請求項20 阻害性RNA分子が二本鎖領域を含み、ここで二本鎖領域がmiR−486の成熟配列に対して実質的に同一であり、実質的に相補的な配列を含む、請求項17に記載の方法。 請求項21 二本鎖領域が配列番号70に対して実質的に同一であり、実質的に相補的な配列を含む、請求項20に記載の方法。 請求項22 前記miR−486阻害剤および/またはmiR−143もしくはmiR−145のアゴニストが、動脈内投与、静脈内投与、皮下投与、または舌下投与される、請求項12に記載の方法。 請求項23 前記miR−486阻害剤および/またはmiR−143もしくはmiR−145のアゴニストが、カテーテルまたはコーティングされたステントにより投与される、請求項22に記載の方法。 請求項24 対象がヒトである、請求項12に記載の方法。 請求項25 再狭窄または新生内膜形成を阻害する第2の作用物質を対象に投与する工程をさらに含む、請求項12に記載の方法。 請求項26 病的な心肥大、心不全、または心筋梗塞の治療を必要とする対象における病的な心肥大、心不全、または心筋梗塞を治療する方法であって、miR−486および/またはmiR−422aのアゴニストを前記対象に投与する工程を含む方法。 請求項27 前記アゴニストが、miR−486および/またはmiR−422aの成熟配列を含むポリヌクレオチドである、請求項26に記載の方法。 請求項28 前記アゴニストが、配列番号70および/または配列番号94の配列を含むポリヌクレオチドである、請求項27に記載の方法。 請求項29 前記アゴニストが、脂質送達媒体中に製剤化される、請求項27に記載の方法。 請求項30 前記アゴニストが、発現ベクターによりコードされる、請求項27に記載の方法。 請求項31 トランスジェニック非ヒト哺乳動物であって、その細胞が機能的なmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486を発現しないトランスジェニック哺乳動物。 請求項32 前記哺乳動物がマウスである、請求項31に記載のトランスジェニック哺乳動物。 請求項33 トランスジェニック非ヒト哺乳動物であって、その細胞が、前記非ヒト哺乳動物の細胞内において活性な異種プロモーターの制御下にあるmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486のコード領域を含むトランスジェニック哺乳動物。 請求項34 前記哺乳動物がマウスである、請求項33に記載のトランスジェニック哺乳動物。 請求項35 前記プロモーターが組織特異的プロモーターである、請求項33に記載のトランスジェニック哺乳動物。 請求項36 組織特異的プロモーターが、筋特異的プロモーターである、請求項35に記載のトランスジェニック哺乳動物。 請求項37 組織特異的プロモーターが、心筋特異的プロモーターである、請求項36に記載のトランスジェニック哺乳動物。 請求項38 血管平滑筋または心筋におけるmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486活性の調節物質を同定する方法であって、(a)血管平滑筋細胞または心筋細胞を候補化合物と接触させる工程と、(b)miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性または発現を評価する工程と、(c)工程(b)における活性または発現を、前記候補化合物の不在下における活性または発現と比較する工程とを含み、前記測定された活性または発現間の差異により、前記候補化合物がmiR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質であることが示される方法。 請求項39 invitroまたはinvivoで細胞を候補物質と接触させる、請求項38に記載の方法。 請求項40 miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質が、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486のアゴニストである、請求項38に記載の方法。 請求項41 miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の調節物質が、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の阻害剤である、請求項38に記載の方法。 請求項42 miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性または発現を評価する工程が、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の発現を評価する工程を含む、請求項38に記載の方法。 請求項43 miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性または発現を評価する工程が、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性を評価する工程を含む、請求項38に記載の方法。 請求項44 miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486の活性を評価する工程が、miR−143、miR−145、miR−422a、および/またはmiR−486により制御される遺伝子の発現または活性を評価する工程を含む、請求項43に記載の方法。 請求項45 miR−143および/またはmiR−145により制御される遺伝子が、Slit−RoboGTPアーゼ活性化タンパク質1、Slit−RoboGTPアーゼ活性化タンパク質2、Smad3、Sema3、Cited2、KLF5、またはMRTFbである、請求項44に記載の方法。 請求項46 miR−486により制御される遺伝子が、PTENまたはFoxo1aである、請求項44に記載の方法。 請求項47 miR−143および/またはmiR−145のアゴニストならびに薬学的に許容される担体を含む医薬組成物。 請求項48 医療デバイスのコーティングとして製剤化される、請求項47に記載の医薬組成物。 請求項49 医療デバイスがカテーテルまたはステントである、請求項48に記載の医薬組成物。 請求項50 miR−486阻害剤をさらに含む、請求項47に記載の医薬組成物。
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